2011 Fiscal Year Research-status Report
投運動における運動連鎖に関するシミュレーション研究
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23500718
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 範久 筑波大学, 体育系, 准教授 (10261786)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 運動連鎖 / ムチ的動作 / 投動作 / 遺伝的アルゴリズム / 近位-遠位連鎖 / 接触状態 / 最適化計算 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では,投動作における運動連鎖,いわゆる「ムチ的動作」が発生する要因を明らかにすることを目的としている.そのために,本研究では,質量および大きさが異なるボールの投動作を3次元動作分析し,それぞれの条件下で運動連鎖の現象がみられるのかを実験的に検討し,さらに剛体リンクモデルを用いた投動作のコンピュータシミュレーションと最適化手法を組み合わせて,ボールの質量や大きさが変化した場合の投動作の変化を推定する必要がある.そこで,平成23年度は,具体的に以下の研究活動を実施した.(1)硬式野球ボール(質量が異なる3種類),ソフトボール(質量が異なる3種類),軟式野球ボール,テニスボール,ハンドボール,バスケットボールなどの投動作を,3次元自動動作分析装置により計測した.また,超高速度ビデオカメラを用いて,リリース時の手指とボールの接触状態(把持状態)を撮影した.(2)従来のシミュレーションシステム(研究代表者が以前に作成したもの)では,最急降下法を用いた最適化手法を採用していたが,質量や大きさが異なる様々な条件での最適動作の推定を行うためには,より高速かつ局所解に陥りにくい最適化手法をシミュレーションシステムに組み込む必要がある.そこで,3次元剛体リンクモデルのシミュレーションシステムに,生体の進化過程を模したジェネティックアルゴリズム(遺伝的アルゴリズム手法)の組み込みを行った.さらに,最急降下法による最適化計算とジェネティックアルゴリズムによる最適化計算を比較したところ,ジェネティックアルゴリズムによる最適化計算の方が初期解の影響を受けにくいことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎データを得ることを目的にした投動作の3次元動作分析,さらに最適化システムの第1次バージョンアップ(ジェネティックアルゴリズムの組込み)が終了しており,おおむね順調に進展したと考えられる.なお,平成23年度の研究計画では,実験のための質量の異なるボールを作成する予定であったが,質量の異なる野球硬式ボールおよびソフトボールが市販されていることが判明したため,平成23年度に実験においては特注ボールを作成する必要はなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度における課題は,従来のシミュレーションシステムでは考慮できていない「ボールと手指の接触状態の変化」を考慮し,さらにボールの質量や大きさの変化をも考慮できるようにシステムを改良することである(第2次バージョンアップ).その後,コンピュータシミュレーションシステムの妥当性を検討・確認するため,平成23年度に得られた基礎データに加えて,より多くのボール条件(表面の素材=滑り具合)を考慮した投動作の計測を行う予定である.その際には,平成23年度では実施しなかった特注ボール(表面の材質は同じであるが直径が異なるボール)の作成を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な研究費の使用予定は,特注ボールの作成,平成23年度の成果を学会で発表して他の研究者と情報交換するための旅費,ボール条件を増やした実験における実験補助者および被験者への謝金等に使用する予定である.なお基礎データ取得のための投動作実験を24年3月に行い,実験補助者およびデータ処理補助者(主にVICONデータのラベリング作業)への謝金の支払いが24年4月に行われること,また計測したデータのバックアップ用NASの導入が24年4月になるため,23年度から24年度への繰越額が生じている.
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