2013 Fiscal Year Annual Research Report
投運動における運動連鎖に関するシミュレーション研究
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23500718
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 範久 筑波大学, 体育系, 教授 (10261786)
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Keywords | 運動連鎖 / 近位-遠位順序性 / ボール質量 / 身体慣性特性 / 最大等尺性関節トルク / 最適化 / シミュレーション / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
本研究では,投動作における運動連鎖,いわゆる「ムチ的動作」を決定する要因を明らかにすることを目的としている.そのために,平成23年度,平成24年度は異なる質量および大きさのボールの投動作を3次元動作分析するとともに,コンピュータシミュレーションと遺伝的アルゴリズムを用いた最適化手法を組み合わせ,ボール質量や大きさが運動連鎖に及ぼす影響を検討した.そこで本年度は,ヒトの特性,特に上肢の慣性特性(質量と慣性モーメント)と最大筋力が運動連鎖に及ぼす影響を検討するために,(1)前腕または上腕に付加質量(0.25kg)を取り付けた投動作実験,(2)前腕または上腕の慣性を変化させた際の最適動作シミュレーション解析,(3)実験的には実施困難である最大筋力を変化させた際の最適動作シミュレーション解析,を実施した.その結果,様々な条件で実験およびシミュレーションを行ったとしても,投動作においては,肩関節水平内転→肩関節内旋→肘関節伸展という「近位-遠位順序性」が崩れることはなかった.したがって,平成23年度,平成24年度の研究結果も踏まえると,投動作における運動連鎖を決定する要因は,上肢やボールの慣性よりも,上肢の構造そのものである可能性が高いと考えられる.言い換えると,肘関節では内外反軸が拘束されており,受動的なトルクが発生する.この受動的なトルクを有効利用するために,肩関節水平内転は肩関節内旋より早いタイミングで生じる必要があると考えられる.また肩関節内旋と肘伸展については,肘の伸展が関節力のモーメントで生じていることを考えると,肩関節内旋は肘伸展より早いタイミングで生じる必要があると考えられる.
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Research Products
(1 results)