2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500722
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
真田 久 筑波大学, 体育系, 教授 (30154123)
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Keywords | オリンピック / 文化プログラム / カルチュラル・オリンピアード / ソチ大会 |
Research Abstract |
本年度は、オリンピックの文化プログラムとして、ソチ大会でのカルチュラル・オリンピアードについて調査した。2010年からソチ2014組織委員会により、ロシア国内のあらゆる地域で、カルチュラル・オリンピアードが展開された。10万人を超えるアーティストにより、3000以上の多様な文化イベントがロシア連邦文化省の後援のもと提供され、300万人以上の人々が鑑賞した。4年間それぞれの年を次のように特徴づけた。2010年:映画の年、2011年:劇場の年、2012年:音楽の年、2013年:ミュージアムの年 ソチ大会のカルチュラル・オリンピアードを分析すると、多様なものが行われていたが、愛国的な内容のイベントも多く含まれていたことも指摘できる。例えば「軍歌の祭典」が第二次大戦の戦勝記念として毎年各地で行われたり、「愛国心の歌のフェスティバル」が行われ、軍による伝統的な軍歌やコサックの歌が披露された。ソチでは、この歌と踊りのコンテストも行われてプロの審査団により審査された。参加者はディプロマが与えられ、コンテストの優勝者には記念の賞と価値ある賞品が授与され、力の入れようがうかがえる。この祭典の芸術ディレクターは、愛国歌の祭典はソチ2014カルチュラル・オリンピアードの重要な部門でロシア中の愛国心を喚起する、と述べている。愛国的な色彩の強いものをカルチュラル・オリンピアードとして行うのはいかがなものであろうかとの疑問が生じる。 これらの例から2020年の東京大会ではどのようなカルチュラル・オリンピアードが展開されるべきであろうか。和の文化の発信、すなわち平和、協調、融和、なごみ、おもてなしなどは、日本文化や精神性を示す文キーワードであり、和の文化を基調として、海外の様々な文化と融和し、平和な社会を築いていこうとするメッセージ性をもったカルチュラル・オリンピアードを創造していくべきであろう。
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Research Products
(6 results)