2011 Fiscal Year Research-status Report
日本,ならびにケニア長距離選手の筋腱複合体の形態・機能に関する比較研究
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23500729
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
小田 俊明 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (10435638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 昌紀 大阪体育大学, 体育学部, 准教授 (20513881)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 フィンランド |
Research Abstract |
本研究は,日本とケニアのジュニアと成人の長距離選手を対象に,下肢における筋と腱両組織の形態,ならびに生理・力学特性を計測し,その発達過程の人種差と競技パフォーマンスの変化との関連について検討することを目的としている.本年度においては,特に以下の2点について研究を遂行した.1)国際陸上競技連盟科学委員会選手マネージメント部門の協力を得,世界記録保持者や昨年度世界ランキング上位選手を含む15名のケニア人成人・ジュニアトップクラス選手の形態,筋腱の形状特性,ランニングフォーム,ならびに走行時の筋腱動態の計測を行った.形態の測定には8方向からの立位時写真撮影を用いた.全身,ならびに下肢の形状を撮影し,得られた画像から,身体のセグメント長,太さ,断面積,身体部分慣性係数等を算出した.また,高速度カメラを用い,レースペースを含む複数速度でのランニングフォームを撮影,キネマティクスを解析した.また,超音波診断装置のB modeを用いることで,安静時の筋と腱の形状特性,ならびに,ランニング中の筋束と腱組織の動態を計測した.2)男子高校駅伝 上位入賞校のジュニア選手約40名を対象とし,ランニング中の筋腱動態の計測を除く上記ケニア選手と同様の測定に着手した.また,実業団等に所属する成人選手についても測定日程の調整中である.現在詳細な分析は進行中のものも多いが,腱組織の形状や走行時の筋腱動態においてケニアの選手に特徴的な傾向が観察された.これら分析が終了したものは国際学会ならびに国際誌に投稿中,ならびに投稿準備中である.得られた知見は陸上競技のみならず持久力を必要とするスポーツにおけるタレント発掘,トレーニング手法の改良・開発の基礎資料として貢献することが期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際陸上競技連盟科学委員会選手マネージメント部門の協力を受けること等で,ケニア,日本の両国の選手共に,トップレベルの選手の貴重なデータを入手できたことは大きな達成として評価に値すると考える.一方,予定していたほどの被験者数を集めることはできなかった.本年度はデータを取得できることとなったケニア人成人・ジュニアの世界トップクラス選手の形態,筋腱の形状特性,ランニングフォーム,ならびに走行時の筋腱動態の計測ならびに分析に努力度を割いたため,当初の本年度予定の中心であった国内のジュニア,ならびに成人長距離選手を対象とした計測(兵庫県,大阪府をはじめとし関西圏を中心として)の進行が思わしくなかったことが,その理由として挙げられる.しかしながら,上述のように男子高校駅伝 上位入賞校のジュニアトップレベルの選手の測定を既に開始しており,協力をいただける他の団体との調整も進んでいる.そのため,今後,国内における被験者データを増やすことが問題なく可能であるため,達成度としては順調と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度において,ケニアのトレーニングキャンプにて,成人,ジュニア共に,強化選手レベル,あるいは国内大会入賞レベルを中心とした測定を行う(30~50名の予定).そのため,外国旅費,ならびに謝金等の使用が必要となる.15泊以上の滞在を予定しており,複数のトレーニングキャンプにおける測定を行う予定である.測定項目は,環境に応じて変更する可能性もあるが,原則として23年度と同様のものを行う.また,国内在住のケニア人選手についても測定を依頼し,MRIによる計測など詳細な実験と解析とを行うことを目指す(被験者謝金).日本人選手においては,本年度に成人,ジュニア共に予定している被験者の測定を終える予定で測定計画を立てる(被験者謝金).特に夏の合同合宿時に測定を依頼し,被験者数を確保すると共に,競技力に幅のある選手群の測定も行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究の推進方策でも述べたように以下の予定である.1)ケニアでの測定のための,外国旅費ならびに謝金2)国内在住のケニア人選手,日本人選手の測定参加に対する謝金3)得られた成果の学会発表のための旅費
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