2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500735
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
川本 真浩 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (20314338)
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Keywords | コモンウェルス / 英連邦 / エンパイア・ゲームズ / イギリス帝国 / スポーツ / 歴史 |
Research Abstract |
今年度の研究活動の内容は、あと少し不足していた部分の史料調査とこれまでに収集した史料の分析と考察及び論稿執筆であった。史資料の閲覧については、9月にオタワ(カナダ)の連邦公文書館を、1月にロンドン(英国)の国立公文書館、コモンウェルス事務局図書館及び東ロンドン大学文書館を、それぞれ訪ねた。論稿執筆については、別記のとおり、スコットランドのスポーツ界の動きに焦点をあわせた論稿と、19世紀末の帝国スポーツ・イヴェント提案からエンパイア・ゲームが始まった1930年代までの経緯にかかる先行研究を再検討するとともに新たな知見で補完する論稿をそれぞれ執筆した。 3か年にわたる研究活動の結果、英連邦大会(エンパイア・ゲームズないしコモンウェルス・ゲームズ)の歴史とりわけ草創期について再検討し、その新たな局面を解明した。同大会は、帝国=コモンウェルス史にあって、スポーツ文化の一事象にとどまらず、その政治的変容と密接に関わりあうイヴェントであった。とくに、帝国=コモンウェルスの政治的変容を大会及びそれを運営するスポーツ諸団体がストレートに被り、それを映しだしたわけではないという点が注目に値する。いわば「もうひとつのコモンウェルス」がスポーツ界につくりだされ、グローバルな空間で一定の社会的機能を果たしていたのである。グローバルな規模のスポーツ大会と地域社会の関係性の観点からは、スコットランドの事例によって、政治の世界とは異なる帝国/コモンウェルス内でのナショナリズムの交錯状況をみてとることができた。 当初は第2次世界大戦後の大会も視野に入れた研究計画をたてたが、数多くの新史料とデータを見出したために想定以上の作業量と時間を要することになり、戦後の大会については部分的な考察にとどまった。ただし全体としてみれば、それを補って余りある成果をあげることができたと考える。
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Research Products
(2 results)