2011 Fiscal Year Research-status Report
人口減少・超高齢社会を見据えたスポーツとコミュニティ形成に関する研究
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23500738
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
後藤 貴浩 熊本大学, 教育学部, 准教授 (20289622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳野 貞雄 熊本大学, 文学部, 教授 (40197877)
伊藤 恵造 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (40451653)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 生活農業論 / 地域スポーツ / 地域組織 / 農山村 |
Research Abstract |
研究初年度の本年度は、まず本研究の理論的背景となる「生活農業論」に学びながら、地域スポーツ組織活動分析に対する生活論的アプローチについて検討し本研究の分析枠組みを構築した。次に、本研究の対象地域となる五木村、小国町に関する基礎情報の収集・整理および同地域に関する先行研究の検討を行った。 生活農業論に依拠した地域スポーツ実践分析の枠組みを検討した結果、以下のことが明らかにされた。現代社会におけるスポーツ実践は、生活様式の変化と同調しながら、個人の領域においてますます進展していく。したがって、単なる量的拡大を推進する振興策を展開するだけでは、地域社会とスポーツ実践の新たな関係性の構築は望めないであろう。また、地域社会そのものが縮小型社会へと転換する中で、それに対応したスポーツ実践の意味も問われなければならない。個人の生きがいや健康問題、社会的交流促進へのスポーツ実践の機能を声高に主張するだけでなく、具体的、実体的な家族や地域組織(集団)の活動との関係性を踏まえた上での振興策が求められる。スポーツ実践だけを切り取り、<クラシ>の領域において如何にその拡大を図ることができるかではなく、<クラシ>の他の領域との豊かな関係性を如何に構築することができるかがこれからの地域スポーツ振興政策の課題となる。 対象地域の概要については、両地域とも主要産業である林業の低迷、高度経済成長期以降の人口流出とそれに伴う高齢化という厳しい課題に直面していることが分かった。その一方で、住民は自らの日常的暮らしを支える地域組織を維持・存続させていることも分かった。小国町には、伝統的な大字協議会や1990年以降結成された住民グループなどの比較的制度化された組織があり、五木村では「ダンナ」と呼ばれるイエを中心とした伝統的な階層的関係性が存続していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた分析枠組みの検討、対象地域の基礎調査を確実に終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
対象地域(小国町)における現地調査に入る。基礎調査で明らかにされた大字協議会、1990年以降の住民グループに関する聞き取り調査を行う。さらに、対象地域を一つの大字地域に絞り込み、スポーツ組織活動を含むその他の地域組織活動についてフィールドワークを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現地調査を行うため調査に伴う旅費が中心となる。その他、データの処理に伴う謝金、文具代、データ分析に伴う文献費、分析結果の検討および成果発表に伴う旅費が必要となる。
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Research Products
(1 results)