2012 Fiscal Year Research-status Report
人口減少・超高齢社会を見据えたスポーツとコミュニティ形成に関する研究
Project/Area Number |
23500738
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
後藤 貴浩 熊本大学, 教育学部, 准教授 (20289622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳野 貞雄 熊本大学, 文学部, 教授 (40197877)
伊藤 恵造 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (40451653)
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Keywords | 地域組織 / スポーツ組織 / 農山村 |
Research Abstract |
本研究の目的は、農山村のスポーツ組織活動に関する実証的研究から、人口減少・超高齢化に突き進む日本社会における新たなスポーツとコミュニティ形成に関する理論を構築することである。 本年度は、熊本県阿蘇郡小国町を対象に、関係論的視座からスポーツ組織活動の地域運営に関わる社会的意味を明らかにした。資料収集および聞き取り調査によりデータを収集した。聞き取り調査の対象は役場職員3名、地域代表者8名、スポーツ関係者9名の計20名であった。 小国町では、旧来からの大字や組といった地域の枠組みが薄れつつあった。しかし、それは町全体に一様に進むのではなく、人びとの居住する地域のあり方によって大きく異なるものであった。それだけではなく、そのような古い枠組みをどうにか維持しようとする様子も垣間見られた。つまり、小国町ではそれぞれが居住する地域によって、地域生活や地域運営の基盤となり得る単位が異なるのであった。そのため、人びとが取り組む地域組織活動は、地域生活の単位と密接に結びつき、相互に規定し合う関係にあった。そのような視点から見ると、地域の事情に合わせて大字や部という枠組みを利用しながら開催されてきた伝統的体育行事も小国町において重要な社会的な意味を担ってきたことが分かった。スポーツ活動を通じて、住民の地域生活の場を引き継いできたのである。一方で、バレーボールなどのスポーツ活動は、地域生活の単位である部や大字を容易に超えて、人びとを結びつけてきた。部や大字という地域生活の枠組みが薄れる地区では、そのような交流機能はそれなりの役割を果たしてきた。しかし、それは人々が実感する地域生活とは直接的に結びつくものではなかったのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の分析枠組みの検討を終え、今年度は実証研究(1)として予定していた小国町における現地調査・分析を行うことができた。分析の結果、農山村における伝統的体育行事の社会的意味という新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実証研究(1)に引き続き、その(2)として熊本県球磨郡五木村における現地調査を行う。ダム問題に翻弄され、挙家離村を伴う人口減少に晒され続ける五木村における地域組織活動とスポーツ活動の関係について探究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料収集先の都合により、旅費を使用することができなかった。 次年度、日程調整のうえ実施する。
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Research Products
(1 results)