2012 Fiscal Year Research-status Report
テニスにおけるトップスピン技術が手関節に及ぼす影響
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23500739
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
前田 寛 大分大学, 工学部, 教授 (60181591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡内 優明 大分大学, 工学部, 准教授 (20194334)
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Keywords | テニスラケット / トップスピン / 斜め衝突 / 摩擦力 |
Research Abstract |
本研究は,手関節の障害を起こさないトップスピン技術を明らかにして,安全にかつスピーディな技術の上達に役立てることを目的としている。その技術とは主に手関節周りの運動の仕方であり、その運動にはトップスピンをかけるためのボールとラケット面との摩擦力が関係している. これまでストリングに接着した動歪みゲージから、ボールとラケット面の摩擦力が推定できることを明らかにし、さらに、これまで1本のストリングに動歪みゲージを接着していたが、4本のストリングに接着することにより、測定可能な衝突面が広くなり,手で保持した場合や実際のストローク場面でも摩擦力の測定が可能となった. そこで24年度は、動歪みゲージを4本のストリングに接着したラケットを手で保持し、ボールが衝突した際のラケット面に生じる摩擦力を推定し、またラケットシャフトに接着した動歪みゲージからラケットの振動を検出し、第9回ISEA学会において、スピンをかけてボールを打ったときの打球感について言及した.また、ラケットのグリップをイースタングリップ、いわゆる薄い握りかたとウェスタ-ングリップ、いわゆる厚い握りかたの2種類の持ち方で、実際にボールにトップスピンがかかるようにラケットをスイングしてボールを打つ実験を行い「シンポジウム:スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス2012」においてグリップの違いによる、ラケットのシャフトに現れる撓みや手関節まわりの角速度の特性を報告した.この2種類のグリップでボールにトップスピンをかけるスイングをした際の、それぞれの手関節の運動特性からトップスピン技術とは何かを説明できれば、傷害を起こさない安全にかつスピーディなテニス技術の上達に貢献できると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでラケット面を構成する横糸のフレーム両端近くのストリングに、動歪みゲージ4枚を接着することにより、固定したラケットにボールが衝突した際の左右のストリング張力の差から摩擦力を測定してきた. 24年度は動歪みゲージを接着するストリングを4本に増やし、ボールが衝突した際の摩擦力の測定が可能な衝突面の面積を広くすることにより、手でグリップ部を保持した場合でも、摩擦力の測定が可能であることを確認した.同時にラケット面に生じる摩擦力と、ラケットのシャフト部に接着した動歪みゲージから得られるラケットに現れる振動の関係から、ボールが斜めに衝突した際の打球感についての実験を行った. さらに実際に、ラケットのグリップをイースタングリップ、いわゆる薄い握りかたとウェスタ-ングリップ、いわゆる厚い握りかたの2種類の持ち方で、ボールにトップスピンがかかるようにラケットをスイングしてボールを打つ実験を行った.そして、グリップ角度の違いによる、ボールにかかる摩擦力の大きさや手関節まわりの角速度の特性を明らかにした. この手関節まわりの角速度の特性と、ラケット面の摩擦力の関係から、グリップ角度の違いによるトップスピン技術が定性的ではあるが明らかになってきたので、おおむね順調に伸展していると評価した. しかし、あくまで手関節まわりの運動特性にとどまっているので、スイングとの技術的な関係を明らかにし、さらに踏み込んで、手関節の撓屈-尺屈、掌屈-背屈、回内-回外の3軸まわりの回転運動の運動を明確にし、傷害の起こらない運動特性についても言及してく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後、テニスラケットをスイングし、ボールにトップスピンをかけて打つ際の、手関節の撓屈-尺屈、掌屈-背屈、回内-回外の3軸まわりの回転運動の運動を明確にし、傷害の起こらない運動特性についても言及してく予定である. そのために、手関節3軸まわりのパワー特性を実験的に求め、その最大パワーに対して、実際にボールを打ったときのパワー比を撓屈-尺屈、掌屈-背屈、回内-回外の軸ごとに算出する.その比から、各軸まわりの負担度とし、関節に負担のかからないトップスピン技術を吟味する. また、室内だけでなく、実際に飛来してきたボールを打つ実験を屋外で行い、これまで考察してきたトップスピン技術の検証を行う.そのために、高速度カメラや屋外でもラケットの振動などの電気信号データを収集できるテレメータなどのデータ収集システムを用いる.またその分析方法として、ボールを打ったときの前腕からみた手関節のオイラー角を求め、手関節まわりのトルクを算出することにより、グリップ角度の違いによるトップスピン技術の違いを明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまで、ラケットをスイングした際の手関節まわりの運動について、ロジカルプロダクト社製のモーションセンサを用いて加速度、角速度等を分析してきた.今後ラケットでボールを打った際の手関節にかかるトルクを算出し、手関節の3軸まわりのパワーが、グリップ角やスイング軌跡の違いによってどのように異なってくるかを検証する.そのために、モーションセンサ専用の手関節まわりのトルクを算出するためのソフトウエアを必要とする. またこれまで主に室内で実験を行ってきたが、これらの実験を屋外でも行い、実際のプレイに近い状態でのデータを収集する予定である.そのため23年度に購入済みの高速度カメラを併用するとともに、屋外でもラケットの振動や歪みなどの電気信号を収録できるデータ収集可能なストレージ機器が必要になってくる. また、研究成果を日本体育学会やスポーツ工学会に発表報告する予定であるため、旅費を計上する.
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Research Products
(2 results)