2011 Fiscal Year Research-status Report
学校と総合型地域スポーツクラブによる「新しい公共」の創出過程に関する研究
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23500740
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
谷口 勇一 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (50279296)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 学校運動部活動 / 総合型地域スポーツクラブ / 新しい公共 / 協働関係 / 揺らぎ |
Research Abstract |
2011(平成23)年度においては、学校と総合型クラブによる「新しい公共」の創出を意図した取り組みが展開されてきた大分県大分市野津原地区におけるフィールドワークを実施し、主に、学校関係者に対するインタビュー調査を実施した。 当該地区における「新しい公共」の創出過程に関する特徴としては、学校部活動と総合型クラブの連携関係構築が活発に為されている点にある。当該地区では2004(平成16)年に総合型クラブが設立されている。クラブ設立の中心人物は中学校の保健体育教師であり、当該教師による学校内での教職員および保護者、地域住民に対する説明・説得が為されてきた。各種の課題を抱えてきた当該中学校の部活動は、総合型クラブとの連携関係構築により、再生への道を歩み、地域住民ならびに学校教職員の意識は「中学生のスポーツ活動は学校と地域の協働作業で行われる」ことへの理解が高まることになった。しかしながら、当該事例においては、2007(平成19)年に「クラブ活動中」の事故が発生している。そのことが契機となり、特に学校(教職員)の学校と総合型クラブによる協働関係性に対する意識は、揺らぎを生じることになる。すなわち、当該事故の発生は、学校教職員に対して「子ども(中学生)のスポーツを学校と地域が一緒に支えることの困難性」の自覚が高まり、「部活動はやはり学校教育活動として実施されるべき」との部活動観を惹起させることになった。 2011(平成23)年度の研究成果とその意義は、学校と総合型クラブによる「新しい公共」の創出過程を事例的に把捉理解できたこと、また、「新しい公共」の創出過程における困難性と新たな可能性(困難を克服するための各種取り組み)を看取するに至った点にある。継続的な当該事例への関与と研究活動を実践したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、「新しい公共」の創出過程を看取する目的から学校教職員を中心とした聴き取り(インタビュー)調査を実施する予定であったが、研究の遂行過程において、地域スポーツをはじめとした各領域の行政関係者との接触機会が得られた。特に教育委員会以外の行政関係者に対するインタビューからは、学校と総合型クラブによる新たなスポーツ環境の創造に伴う「横断的な行政機構の連携」可能性を看取した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては、継続的な聴き取り(インタビュー)調査を実施する。その際の対象者は当該事例のみに留まらず、他の事例関係者へと拡大させる予定である。また、教育、地域スポーツ等、行政関係者への調査活動も実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画については、ほぼ当初の予定通りである。ただし上記のとおり、調査対象者の拡大を想定している関係上、経費使用内訳を再検討し旅費経費の増加を検討したい。
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Research Products
(2 results)