2011 Fiscal Year Research-status Report
ブラインドサッカーにおけるコーチ・コーラーの指示内容とプレーヤーの理解について
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23500755
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
橋口 泰一 日本大学, 歯学部, 講師 (90434068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶽 真人 日本大学, 文理学部, 准教授 (90338236)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 障害者スポーツ / コーチング / コミュニケーション / パラリンピック |
Research Abstract |
視覚障害者スポーツ競技の中で唯一相手プレーヤーと接触があるブラインドサッカーは、指導者(監督、コーチ)やゴールキーパー、コーラーからの指示伝達がプレーヤーの判断を決定づけている。しかしながら、選手個人の心理特性や、状況に応じたプレーと選手に対する指示、言動方法や指導方法、ゲームプランなどが確立されておらず手探りの状態である。これらを明らかにしていくことは、選手の持っている能力を最大限に引き出し、より良いパフォーマンスを発揮するサポート体制を確立していくことにつながると考えられる。本研究では、ブラインドサッカー選手の身体的・精神的特徴について、試合のゲーム分析を様々な視点から行い、試合中の指示内容と言語指示に対しての選手の理解度、プレーの一致具合、選手間の発言について質的な検討から、コーチ・コーラー・選手における個々のコミュニケーションスキル(伝える・聴く・訊く)の違いや言語イメージの共有などを検証することを目的とする。具体的には、国内リーグ及び日本代表におけるゲーム中の指示内容と言語指示に対しての問題点の調査、コーチ・コーラーと選手の言語イメージの調査、国際大会(パラリンピック等)における日本代表及び各国代表のゲーム分析である。平成23年度は、ブラインドサッカー日本代表選手を中心に、心理的競技能力及びプレーする上での心理的な問題の有無についての調査を行った。日本代表戦及び国内リーグ戦における分析では、ゲーム中の指示内容と言語指示に対しての問題点の調査、試合時のシュートシーンにおけるコーチ・コーラーの発言についてのデータ収集及びデータ分析を行った。まだ分析については初期の段階であるが、シュートシーンにおけるコーチ・コーラーの発言については今後に繋がる興味深い知見も得られ、今後の検討に可能性を示すものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査については当初の予定通り、ブラインドサッカー日本代表選手を中心に、心理的競技能力及びプレーする上での心理的な問題の有無についての調査を行った。また日本代表戦及び国内リーグ戦における分析では、ゲーム中の指示内容と言語指示に対しての問題点の調査、試合時のシュートシーンにおけるコーチ・コーラーの発言についてのデータ収集及びデータ分析を行った。国内外を問わず、視覚障害者スポーツに関係する研究者やブラインドサッカー関係者と打ち合わせを行い、ブラインドサッカーの競技に関する現状とその問題点について明確にすることができた。研究発表については、国内での学会発表を予定していたが、当初の予定よりも分析に時間がかかってしまい、23年度の分析結果について関連学会に発表するまでには至らなかった。現在、24年度の関連学会論文投稿に向けて準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、国内リーグ及び日本代表における心理的競技能力、心理的な問題の有無の調査、ゲーム中の指示内容と言語指示に対しての問題点の調査、ブラインドサッカー日本代表の試合時おけるコーチ・コーラーの発言について分析を行った。平成24年度は、ロンドン2012パラリンピックが行われる年であり、日本の現状を把握した上での、強豪国との比較、日本代表におけるコーチ・コーラーと選手の言語イメージの調査とフィードバックを行う。残念ながら、日本代表はパラリンピックに出場できなかったため、パラリンピック出場各国の映像撮影を実施し、各国代表のゲーム分析及び日本代表へのフィードバックを行う。平行して、日本代表における練習マッチ及び国内リーグ戦におけるゲーム分析とゲーム中のコーチ・コーラーの指示内容と言語指示についての分析を行う。本研究においてパラリンピック出場国との比較を行い、世界の強豪国と肩を並べるためのゲーム内容及び、試合中の指示内容と言語指示について日本の指導現場へフィードバックすることは、今後のブラインドサッカーの競技力向上と国際大会での活躍、普及に関して大変意義のある研究であると考えられる。また視覚障害者スポーツのみならず、健常者における指導においても、コーチングスキルにおける相互理解やイメージの共有など大いに期待される。25年度は、ロンドン2012パラリンピックにおける振り返り、日本ブラインドサッカー協会の協力のもと日本の好敵手である「アジア圏諸国」を対象に調査・分析を行い、今後日本代表が強豪国の仲間入りをするための強化対策の提案、ブラインドサッカー競技が発展するためプログラム構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に引き続き、調査及び測定の実施には、選手の関係者や競技団体などの、理解や協力が欠かせない。また調査対象となる選手はもちろんのこと、監督・コーチ、競技団体など、多くの関係者の理解が必要である。この研究を進めるにあたっては、練習場ならび試合会場への出張費、心理テスト用紙の購入費用、映像編集などの経費が必要となる。24年度はパラリンピックがロンドンにて開催されるため、経費の中にロンドンパラリンピックにおける世界強豪国及びアジア諸国の映像撮影及び編集、ゲーム分析に関わる予算を計上している。分析に関わる経費については、膨大な量のデータ処理とその管理、調査におけるフィードバック資料の作成等には、研究補助者による協力がなければ不可能である。また、調査を実施する上でのサポート補助も必要となり、研究補助者に対する謝金も計上されている。専門的な知識の提供に関しては、専門分野における外部講師のレクチャー及び、競技団体や指導者、選手等との意見交換も含まれている。そして本研究費で得られた見解を、国内外の関連学会に発表を行うにあたり、翻訳費、旅費等も含まれる。
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