2013 Fiscal Year Annual Research Report
国内一流棒高跳選手のパフォーマンスに影響を与える質的要因と量的要因の関係
Project/Area Number |
23500756
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青山 清英 日本大学, 文理学部, 教授 (20297758)
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Keywords | コーチング / 自己観察 / 他者観察 / バイオメカニクス / 質的研究 / トライアンギュレーション / 棒高跳 |
Research Abstract |
平成25年度の研究目的は、選手の自己観察、コーチの他者観察、バイオメカニクス的分析から選手の技術的な運動問題を検討するとともにそれらの関係性について検討することである。さらに、バイオメカニクス・データについて選手とコーチの間で解釈学的考察を行い共通する解釈内容を取り出すことを試みた。 まず、選手の自己観察分析とコーチの他者観察内容について半構造化面接と指導メモを用いて質的分析を行った結果、運動抑制現象の発生は主に助走局面と突っ込み局面であることが明らかにされた。それぞれの局面における技術として重要な運動感覚意識は、助走時ではポールと選手自身の関係に関する事項が中心であった。ポールドロップは、その適切なパターンが破壊されると選手の助走スプリント技術に大きな影響を与え、後続の突っ込み動作に悪影響を及ぼすことになる。この突っ込み局面では、両腕を上方へパンチングするような運動感覚意識が重要であることが選手の自己観察内容から明らかにされた。コーチの他者観察では、失敗試技において不適切なポールドロップと不完全な突っ込み動作が指摘されていた。両者の運動感覚意識については、運動共感が成立し、共に同様な運動局面で同様な運動問題を把握していたといえる。 また、バイオメカニクス的分析では、運動問題は主に助走において顕著であった。助走の特徴を示すポール角、速度、ピッチ、ストライドを見ると、試技の成功した場合と失敗した場合を比較した結果、その相違がポール角と速度に表れた。成功試技では、助走開始から中盤での高い角度でのポール保持が運動感覚的に良好で大きな助走速度を獲得するために有効であるといえる。これらの三つの分析結果から、すべての分析で助走局面の重要性が指摘された。このようなことから、助走の運動感覚的診断とバイオメカニクス的客観診断の解釈学的すり合わせが技術トレーニングにおいて重要であるといえよう。
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