2012 Fiscal Year Research-status Report
運動開始直後の機械的血管拡張機構に及ぼす自発走運動と加齢の影響
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23500771
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
前田 順一 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40199617)
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Keywords | 運動性高血流 / 血管拡張機構 / 経壁圧変化 / 自発走運動 / ラット骨格筋細動脈 |
Research Abstract |
本研究では、運動開始直後1秒程度で生ずる非常に速い血管拡張機構について、機械的な刺激変換機構を検討する。2012 年度 の目的は、1回の筋収縮で血管拡張を生ずる血管経壁圧変動の閾値および機械的な圧迫に対する血管拡張に及ぼす自発走運動の影響を明らかにすることであった。 ラットは8週間以上の自発走運動を負荷した Wistar 系ラットを用いた。ラットのヒラメ筋の入り口に位置する供給動脈の生体外摘出標本を作成し、血管外圧の変動により惹起される血管径の変化を測定した。 血管内圧を 80 mmHg に保ちながら 1秒間 250 mmHg の矩形様血管外圧を1秒間の間隔で1~10 回負荷したところ、1 回( 1 秒間)の負荷直後にコントロール群 (Cnt)では10.4 %の血管拡張が生じ、自発走運動群では 14.1 % の血管拡張が生じた。負荷回数が5~6回(5~6 秒間)の負荷で両群とも最大の血管拡張が生じたが、それ以上負荷回数を増しても血管拡張度に大きな変化は認められなかった。Cnt 群では 25~30 % の拡張が認められ、自発走運動群では 35~40 % のCnt 群によりも有意に大きな血管拡張を生じた。負荷する血管外圧を 20 mmHg から徐々に漸増したところ、血管外圧により血管内径が減少しはじめる 60 mmHg 付近から負荷直後に 5 % の血管拡張が生じ、200 mmHg 前後で 10 % の血管拡張が生じた。血管拡張を生ずる経壁圧は 20 mmHg 付近にあり、この閾値には自発走運動の影響は認められなかった。 以上の結果より、腓腹筋の収縮により機械的な圧迫を受けるヒラメ筋供給動脈においては、血管拡張を生ずる経壁圧変動の閾値に自発走運動の影響は認められないものの機械的な圧迫に対する血管拡張は亢進することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012 年度 の目的は、1回の筋収縮で血管拡張を生ずる血管経壁圧変動の閾値および機械的な圧迫に対する血管拡張に及ぼす自発走運動の影響を明らかにすることであった。年末までは実験計画どおり進んだが、年末から年度末にかけて測定機器等の故障が生じた。アメリカ製の測定機器の修理に時間が取られて、標本数が予定数に達しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度に不足した標本数を補うために、2013年度に計画している実験と並行して、2012年度の実験についても追加実験を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本課題の最終年度となる2013年度においては当初の計画どおり、1回の筋収縮で血管拡張を生ずる血管経壁圧変動の閾値および機械的な圧迫に対する血管拡張に及ぼす加齢の影響を検討する。2011年度、2012年度と同様の実験方法により5 ヶ月齢と 22 ヶ月齢のラットを用いて血管外圧の上昇にともなう血管拡張に及ぼす加齢の影響について検討する。さらに、2011年度及び2012年度に得られた成果も含めて、血管外圧変化による細動脈の機械的な血管拡張について、自発走運動及び加齢の影響について結果を総合的に取りまとめ、成果を発表する。 2013年度においては、ラット、飼育用飼料、床敷チップ、回転カゴ式自発走運動測定装置、同記録ソフトウェア、試薬、学会発表のための出張旅費、論文の英文校閲費等に予算を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)