2011 Fiscal Year Research-status Report
グレリン併用運動療法の多面的抗生活習慣病作用に関する研究
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23500782
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
上野 浩晶 宮崎大学, 医学部, 助教 (00381062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
十枝内 厚次 宮崎大学, 医学部, 講師 (80381101)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | グレリン / 成長ホルモン |
Research Abstract |
グレリン併用運動療法の多面的抗生活習慣病作用を解明する事を本研究の目的としているが、運動時の内因性グレリンの分泌動態をまず明らかにするために、健常人男性9名(25.2 ± 0.5歳)を対象として、50%VO2maxの強度で60分間サイクリング運動を実施し、さまざまな血中パラメーターの測定を経時的に行った。運動中の血中グレリン濃度は有意に低下し、運動終了30分後には回復傾向を示したが、デスアシルグレリンは運動中も運動後も有意な変化は認めなかった。また、成長ホルモンは運動開始45分後に約18 ng/mlにまで著明に増加し、インスリン値は運動開始30~60分後に有意に低下した。また、血中カテコラミン3分画は運動後にそれぞれ著明に増加した。血糖値は運動中に低下傾向となり、運動終了30分後には開始前と比べて有意に低値となった。グレリン値と成長ホルモンまたは血中カテコラミン3分画は有意な負の相関を認めた。以上より、中等度運動によりグレリン分泌低下、グレリン-O-アシルトランスフェラーゼ(グレリンの脂肪酸修飾≒グレリンの活性化を行う酵素)の活性低下、または末梢組織でのグレリン取込(消費)亢進が惹起されると考えられ、運動に伴うアドレナリン系活性上昇にグレリン低下が関与している可能性が示唆された。Akamizuらの報告によれば、健常人にグレリン1.0 μg/kgを早朝空腹時に投与すると、約120 ng/mlにまで上昇する(Eur J Endocrinol. 2004;150: 447-55)ため、運動中に通常は低下するグレリンを外来性に投与することで、運動により得られる成長ホルモン分泌量よりもさらに多くの分泌を期待できることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画よりは若干の遅れを認めている。その理由として、実際的に研究に参加予定であった人員が、東日本大震災における医療支援のために本院を不在にする時期があり、臨床試験に対する見直しが必要になったことや、グレリン製剤の製造や流通への影響が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画を推進すべく、対象者のリクルートについて関係医療機関への働きかけや、グレリン製剤の安定供給に向けた製造会社との連絡・連携の強化を行っていきたい。また、グレリンの投与経路について、当初は皮下投与を予定していたが、安定した血中濃度維持などに問題がある可能性があり、過去に投与経験のある点滴静注での投与への変更も考慮する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人件費、研究協力者への謝金、グレリン製剤の購入費、血液検査の測定費用(外注検査費用、ELISAキットの購入費用)、研究成果発表や研究推進の情報収集のため糖尿病学会年次学術集会などへの旅費等として使用する計画である。
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