2013 Fiscal Year Annual Research Report
グレリン併用運動療法の多面的抗生活習慣病作用に関する研究
Project/Area Number |
23500782
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
上野 浩晶 宮崎大学, 医学部, 助教 (00381062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
十枝内 厚次 宮崎大学, 医学部, 講師 (80381101)
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Keywords | グレリン / 運動療法 / インスリン |
Research Abstract |
グレリン併用運動療法の多面的抗生活習慣病作用について研究を行い、以下の研究実績を得た。運動時の内因性グレリンの分泌動態について健常人男性9名を対象として、50%VO2maxの強度で60分間サイクリング運動にて検討した。運動中の血中グレリン濃度は有意に低下し、運動終了30分後には回復傾向を示した。成長ホルモンは運動開始45分後に著明に増加し、インスリン値は運動開始30~60分後に有意に低下した。血糖値は運動中に低下傾向となり、運動終了30分後には開始前と比べて有意に低値となった。次に健常人および2型糖尿病患者を対象にして一晩絶食後の早朝に生理食塩水またはグレリン 0.5 μg/kgを静脈内投与し、400 kcalの試験食を摂取して180分後まで経時的に採血を行った。生食投与時と比較してグレリン投与時には、血中グレリン濃度と成長ホルモンの著明な増加を認めたが、血糖値やインスリン値についてはどちらの対象でも両群間で差を認めなかった。成長ホルモンの増加量やvisual analogue scaleで評価した食欲も健常人と2型糖尿病患者で同等であった。次に2型糖尿病患者7名に対してグレリン1.0 μg/kgを1日1回2週間連続投与したところ、体重、体組成、血糖値、インスリン、血清脂質は不変~改善傾向で、成長ホルモンの反応は2週間後には減弱していた。糖尿病性末梢神経障害の自覚症状と後脛骨神経運動神経伝導速度は2週間後に有意に改善していた。以上より、グレリンの短期投与は健常人や2型糖尿病患者の糖代謝に悪影響を与えず、2週間連続投与でも同様で、糖尿病性末梢神経障害を改善する可能性も示唆された。運動中は内因性グレリン分泌が減少することも明らかとなり、運動とグレリンの併用により両者の効果が相俟って糖脂質代謝の改善および糖尿病合併症(末梢神経障害)の改善する可能性が示唆された。
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