2013 Fiscal Year Research-status Report
カルニチン投与が全身の代謝および中枢神経系におよぼす持続的作用
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23500783
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
吉田 剛一郎 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (10274870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 武頼 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 特任教授 (10056070)
吉武 裕 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (00136334)
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Keywords | カルニチン / 脂肪酸代謝 / JVSマウス / 中枢神経系 / オレキシン |
Research Abstract |
カルニチン投与がマウスの自発行動におよぼす持続的効果について、全身の代謝および中枢神経系の双方から検討を行った。先天的にカルニチンを欠損するモデル動物juvenile visceral steatosis(JVS)マウスを用いることにより、カルニチンのはたらきをより明確に示す。絶食により自発行動量の低下するJVSマウスにカルニチンを投与すると自発行動量は増加し、投与したカルニチンが体内から消失した後も持続的に投与効果は続く。全身の代謝からみると、投与したカルニチンが体内から消失した後も、脂肪の消費量、長鎖脂肪酸酸化レベルは亢進を示す。その詳細を検討するため、カルニチンの律速酵素であるcarnitine palmitoyltransferase(CPT)1のレベルについて検討を行ったが、現在のところ有意な変化を認めていない。一方、JVSマウスの絶食による自発行動量低下の機構を明らかにする過程で、中枢神経系におけるオレキシン神経活動との関係を見出した。JVSマウスでは、絶食下で暗期活動期における自発行動量が低下する際、視床下部外側野におけるc-Fos陽性のオレキシン神経細胞の割合は激減した。低下したJVSマウスの視床下部外側野におけるc-Fos陽性のオレキシン神経細胞の割合は、カルニチンの腹腔内1回投与により摂食時のレベルにまで回復した。暗期活動期におけるマウスの自発行動量とc-Fos陽性のオレキシン神経細胞の割合とは高い相関を示した。また、睡眠覚醒サイクルについて、絶食JVSマウスでは消灯後の覚醒期にレムおよびノンレム波が頻発して覚醒は断片化された。これは、オレキシン欠損マウスと同様の脳波パターンを示すものであり、オレキシン神経活動の低下を裏付けるものである。以上の結果は、カルニチン欠損JVSマウスの自発行動量低下には、オレキシン神経活動の低下が関与することを示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カルニチンの全身の代謝および中枢神経系への作用を検討する一連の流れの中で、全身の代謝の検討に手間取ったためやや遅れているとした。とくに、CPT1およびAMP kinaseの測定・評価に時間を要したことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に大幅な変更はない。JVSマウスに対するカルニチンの持続的投与効果について、全身の代謝および中枢神経系の双方から検討を行う。脂肪酸代謝の調節に関わる因子としてAMP kinase、中枢神経系においては、オレキシン神経活動の調節に関わるグルタミン酸について解析を進める。
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[Journal Article] Cytosolic reducing power preserves glutamate in retina2013
Author(s)
Du J, Cleghorn W, Contreras L, Linton JD, Chan GC, Chertov AO, Saheki T, Govindaraju V, Sadilek M, Satrustegui J, Hurley JB.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci USA
Volume: 110
Pages: 18501-18506
DOI
Peer Reviewed
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