2011 Fiscal Year Research-status Report
異なるラット系統種の筋力トレーニングへの応答の差をモデルとした筋肥大因子の探索
Project/Area Number |
23500788
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
中里 浩一 日本体育大学, 体育学部, 教授 (00307993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 立朗 桐蔭横浜大学, スポーツ健康科学部, 助教 (80468800)
越智 英輔 明治学院大学, 教養部, 講師 (90468778)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 筋肥大 / タンパク質合成 / タンパク質分解 / トレーニング / ラット / 系統種 |
Research Abstract |
本研究はラット系統種別のトレーニングに対する適応応答をモデルとして筋肥大に関わる因子の探索および筋肥大に有用なトレーニング方法の開発を目的としている。本年度はSD系およびWistar系ラットにおける等尺性トレーニングへの応答の差をタンパク質代謝応答を中心に解析した。 SD系ラットおよびWistar系ラットそれぞれ6匹をAdamsらの方法(Adams et al JAP 2004)に従い等尺性トレーニング(足関節角度90度にて腓腹筋の電気刺激を5秒間5セット×5セッション)をおこなった。トレーニング終了後、フォーレン麻酔下にて放血死させ腓腹筋を摘出した。得られた腓腹筋を用いて筋重量、筋内におけるタンパク質合成および分解に関わるタンパク質(p70S6K, FoxO3a,atrogin,MuRF)の定量を行った。 等尺性トレーニング終了後筋重量を測定したところ、SD系ラットでは腓腹筋内外側ともに有意な肥大が確認されたが、Wistar系ラットでは肥大は確認されなかった。ミオシン重鎖組成に関してはWistar、SDともにIIxが増加しIIbが減少するとの結果を得た。タンパク質転写活性亢進に重要な役割を果たすp70S6Kの定量を行ったところ、全てのp70S6Kに対するリン酸化p70S6Kの量がSD系ラットのトレーニング側において有意に高値を示した。Wistar系においては同様の傾向はみられなかった。タンパク質分解のシグナル分子であるFoxO3aのリン酸化がSD系においてのみ亢進している傾向が観察され、かつ筋タンパク質の直接の分解酵素であるMuRF1とMaFbxはSD系ラットにおいてのみ有意な減少が確認された。これらの結果は筋タンパク質分解の抑制が示唆している。 以上の結果から筋力トレーニングに対してSD系はアナボリックに反応するものの、Wistar系は応答性がみられないことを結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はラット系統種別での筋力トレーニングに対する応答性の差を明らかにすることを目的にしており、その結論を導くに妥当なデータをほぼ得ることができた。これらの内容は国外の学術専門誌(Physiological Research)に投稿し、現在リバイス中であることから専門的な見地からも一定の評価が得られているものと考えている。ただし当初予定していたmRNA発現の網羅解析は今年度行うことができなかった。主な理由は綿密に受託計画を進めてきた委託業者の倒産にあり、我々としては不可避であった。今後網羅解析を進めていくかに関しては、この実験の次に予定されている収縮様式別のタンパク質合成応答の結果をみて改めて検討することを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、収縮形態依存的なタンパク質合成・分解シグナルの応答性を検討していく。具体的には等尺性収縮と伸張性収縮を被検動物に課し、mTORシグナル系とMAPKシグナル系の両者の応答性を解析していく予定である。合わせてタンパク質合成を直接的に解析可能であるSunSet法を用いた新たな分析を取り入れる。ただし当初Wistar系ラットでの検討を予定していたが、アナボリックな応答性が高いSD系ラットでの解析を先に行った後、得られた結果に応じてWistar系にて同様の結果が得られるかどうかを検討していきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り実験用消耗品を中心とした物品費にその大部分を使用する予定である。
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