2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢ドライバーの運転動機に基づいたリスク回避行動の理解と遂行促進
Project/Area Number |
23500793
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮崎 章夫 茨城大学, 人文学部, 准教授 (90312769)
|
Keywords | 運転 / リスク行動 / 動機 |
Research Abstract |
前年度までの予備調査の結果を踏まえ、動機別に運転リスク行動を測定する尺度(動機別運転リスク行動尺度)を開発した。本尺度は、スリルや刺激を求める「刺激希求」、目的地への「先急ぎ」、自尊感情を高める「自己高揚」、他車からの圧力や煽り運転から逃げる「逃避」という4種類の動機に起因するリスク行動の頻度を5件法で測定する。調査は計3回実施し、調査1の対象者は、全国に居住する免許取得後1年以上の男女で、18-24歳(青年群)、39-49歳(中年群)、65歳以上(高齢群)の計600名。各年齢群は男女同数とし、なおかつ、過去3年以内に事故経験のある者を半数含めた。尺度の再検査信頼性を確認した調査2では、茨城県の大学生と専門学校生を計83名、尺度の収束的妥当性を確認した調査3では、調査1と同じ年齢群を計300名それぞれ対象とした。分析において、フロア効果を示す項目を除外し、残りの16項目に対して探索的因子分析(プロマックス回転)を行った。固有値と因子の解釈しやすさを考慮して2因子を抽出した。第1因子は「刺激希求」と「先急ぎ」のリスク行動を含むことから「スピード希求」と命名した。第2因子は「逃避」のリスク行動のみで構成されたことから「他車逃避」と命名した。「スピード希求」と「他車逃避」の両尺度において、事故経験者は高得点を示した。また、両尺度と既存尺度との間には部分的に予想した相関関係が認められた。これらの結果は、本尺度の妥当性を示していた。2種類のリスク行動は異なる年齢的特徴を示した。「スピード希求」を反映するリスク行動は青年男性に多く、これは従来から知られているリスク行動の特徴と一致していた。それとは異なり、「他車逃避」を反映するリスク行動は、女性では青年、男性では高齢者に多かった。これら2つのグループは、他車からの脅威や圧力に対して、自分の技能を越えて無理な運転をしやすいことが予想された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の計画は、運転リスク行動を多面的に測定する尺度の開発、ならびに、調査結果を踏まえたドライバー教育の実施であった。計画通り、尺度を開発して調査の一部を実施したが、追加の調査までは実施できなかった。また、調査結果を踏まえたドライバー教育を行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施したweb調査の妥当性を確認するため、調査対象者を変えて追加調査を実施する。また、調査の成果を盛り込んだ交通安全教育を試行する。対象者は、自動車教習所の教員、ならびに企業の安全運転管理者とする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、シルバー人材センターを介して調査を行う予定であったが、その後に、センターのみでは必要数の高齢ドライバーを確保できないことが明らかになった。そのため、方法をインターネット調査に切り替えて調査を実施した。これらの過程に時間を要し、予定していた調査の一部のみしか実施できなかった。そのため、予定していた謝金を使用しなかった。 本年度の調査結果を踏まえた追加調査を行う為に使用する。インターネット調査のみでは調査の信頼性が確保できない恐れがあるため、一般企業等にも調査を依頼し、その謝金にも予算の一部をあてる予定である。
|
Research Products
(3 results)