Research Abstract |
主な研究成果は次の2点である. 外部刺激音への同調特性について, 刺激音に対して出来る限り速くキーを押す課題(反応課題)と3秒ごとに繰り返される刺激音に同期してキーを押す課題(同期課題)を,大学生女子10名(平均年齢22.5歳)と高齢者15名(平均年齢67.7歳)で比較した.高齢者の反応時間及び同期時間は大学生よりも遅くなる傾向が認められたが群間に有意な差は認められなかった.外部刺激音への同調と前腕で回転盤を回転させる課題を同時に行なう二重課題事態において,高齢者の反応時間は大学生よりも有意に遅くなった.同期時間に有意な差は認められなかった. 主観的気分と動作速度の関連性について,大学生女子8名(平均年齢23.2歳)を対象に実験を行なった.動作課題は,腕を前後に振る「腕振り課題」,両手を回す「手回し課題」,左右に体幹を揺らす「横揺れ課題」,脚を交互に踏み出す「踏み出し課題」,両手を自由に動かす「自由動作課題」の5種類であり,被験者にとってちょうど良い動作速度で20秒間ずつ行った.遂行動作を前方から録画し,両肩関節(肩峰),左肘関節(肘頭),両手首,両手指先,左腰(腸骨稜),左膝関節,左足首,左つま先の計11ヶ所を解析対象部位とした.心理指標として,多面的感情尺度(寺崎ら,1992)を用いた.生理指標として,胸部双極誘導により心拍を測定した.以上の測定を,1人1日5回実施した.「快」気分は,上肢の動作速度の速さおよび,体幹の動作速度の遅さ,上肢と体幹の動作域の狭さと,「不快」気分は,上肢の動作速度の遅さ,上肢と体幹の動作域の広さ,上肢の動作の非左右対称性と,「高覚醒」状態は上肢の動作速度の遅さと,「低覚醒」状態は上肢の動作の非左右対称性との関連がそれぞれ認められた.
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Strategy for Future Research Activity |
同調プロセスについて,引き続き,日常生活の中で表出・表現される多様な動きを常に念頭におきながら,前腕回転課題,タッピング課題,前腕ミラーリング課題を用いて実験を行なう.また,フィールド実験として, 3人以上が関与するコミュニケーション場面における身体的ふるまいの相互影響の分析に着手する.
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