2012 Fiscal Year Research-status Report
身体的コミュニケーションにおける同調諸相の精神生理学的分析と臨床応用
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23500799
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
成瀬 九美 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (90193581)
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Keywords | 身体的同調 / コミュニケーション / 動作速度 / 模倣 |
Research Abstract |
同調プロセスについて,①小型加速度計を用いた実験,②3人以上が関与する交流場面(成人女子の日常会話場面・小学生のキャンプ自炊場面・小学生の即興ダンス場面)の行動分析を行った. <小型加速度計による実験> 2者の身体的交流場面(ダンス課題.5分間)を設定して,上腕部と腹部に装着した小型加速度計により収集した加速度波形とビデオ映像の分析から同調事態を見極めた.開始180秒以降(二人で動き始めて2分経過)に,二人の動きが同期および類似した.加速度波形を分析した結果,振幅幅の近似,ウエーブレット解析による周波数の近似などが確認されたことから同調区間と見極めた.2者間のリズム生成過程において,他者行為に対する自己身体の調整が随意行なわれていることが明らかになった. <交流場面の行動分析>日常的な会話場面については,発話および視線や頷きなどを行動コーディングシステムにより分析した.視線やあいづちといった非言語情報が会話の下支えとして機能していること,次話者にならない「傍参与者」の関与の程度がグループとしてのまとまりが形成される過程に影響することが明らかになった.キャンプの自炊場面については,キャンプカウンセラーや子どもたちの発話や行動を行動コーディングシステムにより分析した.一人の行動を他のメンバーが模倣することで自炊の手順を理解するようになったことや,何気なくつぶやいた発話を他者が受け取るという関係性が自主的行動を起こすきっかけとなったことなどが明らかになった.小学生即興ダンス場面については,児童24名分の移動軌跡を分析した.音楽リズムに同期して踊るパターンと同期しないパターンに大別することができ,それらはさらに,緩急をつけて広い空間を使って踊るパターンと定速で狭い空間で踊るパターンに分類され,これらがかかわりの過程で変化することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は概ね達成できた. 小型加速度計の活用によって同調プロセスの可視化が可能となった.また,成人女子および子どもを対象とする日常的な交流場面の行動分析を行ったことにより,同調不全に結びつく要因抽出への手がかりが得られた.評価方法の確立については次年度に繰り越すことなった.
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Strategy for Future Research Activity |
同調プロセスについて,多様な動きを念頭におきながら引き続き実験ならびに日常場面の行動分析を行い,同調不全に結びつく要因の抽出を行い,メンタルヘルス専門家(臨床心理士など)の協力を得て,同調プロセスの記録・評価方法を確立させる.研究成果を積極的に公開するとともに,3年間の研究過程で新たに生じた検討課題をまとめて今後の研究の方向性を見出す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定に変更を加える必要はなく,当初の計画に沿って進める.
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Research Products
(2 results)