2011 Fiscal Year Research-status Report
精神障害をもつ当事者参加型研究によるワークライフバランス再構築度尺度の開発
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23500807
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
谷村 厚子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (70315761)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 精神保健 / リカバリー / アクションリサーチ / 人間作業モデル |
Research Abstract |
本研究では、人間作業モデルを理論的背景に当事者参加型アクションリサーチの手法を用い、参加当事者のリカバリーを促進しワークライフバランスを改善するとともに、有用なワークライフバランス再構築度尺度を開発し、その暫定版尺度の信頼性・妥当性・適合度の検討を行う。 当該年度は2地域で、ソフトシステム方法論を利用し、(1) ワークライフバランスの問題に関するお互いの考えや思いを知り合う (2)いくつかの根底定義(システム)にまとめる (3)これらを稼働するために必要な活動を動詞で表現するという段階でグループワークを実施した。その結果、ある1地域でまとめられた根底定義は、「a. 体調管理をするために、運動を取り入れ規則正しい生活をすることによって、生活リズムを整えるシステム」「b. 地域の人と知り合うために、イベントに参加することによって、周りの人とコミュニケーションを取るシステム」「c. ご近所づきあいを気持ちよくするために、あいさつすることによって、円滑な人間関係を築くシステム」であった。例えば、aを稼働するのに必要な活動は、「無理なく散歩をしてみる」「早寝早起きをする」「自分なりに目標を決めて時間割を作って運動を取り入れる」等、bを稼働するのに必要な活動は、「イベントに参加して周りの人とあいさつをする」「どんなことをやっているか聞く」「体調を整えてできるだけ参加する」等、cを稼働するのに必要な活動は、「目と目を合わせてみる」「声のトーンを明るくする」「(挨拶するきっかけを考えて)家の前の掃除をする」等であった。 今年度の研究成果である根底定義とその活動は、参加者の理想と現実を適合したものとなり、尺度項目の原案として有用と考えられた。また、参加者がグループワークで段階を踏み、共有し気づき納得する過程を体験し、尺度開発の過程に関与するといった点でも意義あるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参加者がグループでワークライフバランスに関する問題を共有して改善策を検討し、自身の学習の過程を促進するとともに、生産物として尺度項目の原案を得ることを目的に、アクションリサーチの方法論の1つであるソフトシステム方法論を利用してグループワークを実施した。北関東の実施予定は、東日本大震災の影響のため地域を変更したが、2地域でグループワークが実施できた。その結果、2グループで合計68件の尺度項目の原案が得られ、次年度以降のワークライフバランス再構築度尺度(暫定版)の開発の準備が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ワークライフバランス再構築度尺度(暫定版)を開発し、尺度の信頼性・妥当性・適合度を検討する。具体的には、当該年度の研究成果である尺度項目の原案を検討し、nominal group techniqueを利用して3地域でグループワークを実施し、各グループですべての質問項目案に対する意見を集約する。3地域の参加者全員の合意の程度を根拠に質問項目案を選定し、ワークライフバランス再構築度尺度(暫定版)とする。次に、研究参加者および作業療法学生に対し尺度(暫定版)の調査員を募集し、その調査員が3地域の調査対象(200名程度)に尺度(暫定版)の調査を実施する。最後に、研究代表者および研究協力者が調査結果の信頼性(内部一貫性) 、因子妥当性、適合度を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費は、当該年度には当初の計画よりも高額な物品費、旅費、運営担当者の謝金を必要としなかったために生じたが、次年度以降の研究推進のためにはこれらが必要となる。具体的には、物品費として、データ保存と分析に使用するディスクトップパソコン、ノートパソコン、統計解析およびラッシュ解析ソフトウェア代を使用する。国内旅費として、グループワーク・調査統括のために24年度:北海道へ2泊3日×14回分、25年度:北海道へ2泊3日×6回分を使用する。運営担当と調査員の謝金として、24年度運営担当:作業療法士1名×3地域、グループワーク3回分+調査員の調整8日分、24年度調査員:14名×3地域×4回、25年度調査員:10名×3地域×4回分を使用する。
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Research Products
(2 results)