2011 Fiscal Year Research-status Report
幼児施設における遊具による事故防止のための幼児の行動特性及び遊具の安全性について
Project/Area Number |
23500814
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
原本 憲子 聖徳大学, 教職研究科, 准教授 (30458666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩 美佐枝 聖徳大学, 教職研究科, 教授 (30310288)
越山 健彦 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (50581154)
百瀬 定雄 聖徳大学, 教職研究科, 准教授 (30348429)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 人間生活環境 / 遊具 / 幼児 / 安全 / 事故防止 |
Research Abstract |
平成23年度は、すべり台による事故の実態を調査するために、全国公私立50の幼稚園に依頼し、9月にアンケート調査を実施した。回収した34件から、その内容について集計し分類を行った。調査項目としては、1.園に設置されているすべり台の材質、形状 2.すべり台による怪我の実態 3.すべり台使用にかかわる指導の実際 4.すべり台の安全点検の方法の実際 5.すべり台の設置場所と園庭全体の構造 6.過去のすべり台による事故の実態 7.アンケート調査期間内でのすべり台の事故につながるインシデント(ヒヤリハット情報)について実態を収集した。 同時に全国から5園(北海道、千葉、東京)を研究協力園として指定し、現地において、園児のすべり台使用実態をビデオ撮影及び行動描写法により観察、記録した。さらに、園長、教員にヒヤリングを行い、すべり台による事故の実態、事故に至らなかったインシデントについて詳細の聞き取りを行った。現在、ビデオ解析を行っている。 幼稚園施設整備指針においては、遊具の扱いについて、幼児の発達段階や利用状況、利用頻度等に応じ必要かつ適切な種類、数、規模、設置位置等を検討することが求められているが、その検証方法については明確な規定はないことから、本調査では、安全確保についての疑問や困難度を、アンケート調査の記述内容と現地ヒヤリングから抽出した。また、すべり台の設置場所と他の遊具の位置関係、すべり台の大きさを調査項目に入れ、遊びの中で、すべり台をどのように使用しているのかについて分析した。幼児教育施設内での幼児の行動特性と遊具の安全性との関係性を捉えるアンケート調査のデータベースの作成と現地での実態収集が、本研究の目的である「遊具の持つ機能と危険性を追及し、その指導と管理を向上させるための指標を明確にする」のための土台として成果を上げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤となる幼児教育施設におけるすべり台での事故及びヒヤリハットの実態、すべり台の使用にかかわる指導の実態、すべり台の安全点検の方法の実際を、全国から34園の幼稚園にアンケート調査を実施したことによりおおむね明らかにすることができた。 また、本研究の目的である遊具による幼児の事故をなくすための手法を考案するためには、実際の保育現場での幼児の遊びの実際を詳細に捉える必要があることから、平成23年度には研究協力園にあたる5園を訪問し、すべり台で遊ぶ幼児の行動の詳細をビデオ撮影し、分析のための基礎データを収集することができた。 さらに、3歳児、4歳児、5歳児の身体計測とすべり台の傾斜角度との関係性を計測器を用いて計測し、研究の基礎データとした。 現在、すべり台における事故発生の誘因・要因と事故には至らなかったインシデントの状況を分析するため、これらのデータを基に、アンケートのデータベースを作成した。これらの理由から、本研究は、当初の目的を遂行し、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成24年度は、23年度に実施したアンケート調査結果をもとにデータ分析を行い,幼児の行動特性と事故発生との関係性を探る。幼児の行動特性観察の視点を、主に次の6つの要件で実施する。(1)入園当初のすべり台を使い始めた時期の行動特性と体験を重ねた時期の行動特性の比較 (2)遊びとの関連性 (3)すべり台利用導線の交錯情報の収集 (4)行動空間を配慮した安全領域の検証 (5)指導と管理の視認領域の確認 (6)幼児の認知しにくい危険の領域検証。2.アメリカ(研究者2名)とドイツ(研究者2名)を視察し、幼児教育施設における現地の安全管理の実態を調査する。さらに、遊具の安全基準を早期から策定しているアメリカ・ドイツの安全基準協会を視察し、安全基準作成に至る経緯等について理解を深める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の研究費使用状況については繰越金額が発生した。理由は、現地調査を2回実施する予定であったが、幼児の行動観察を実施している中で、「利用回数や発育に伴う遊び方の変化」についても知る必要があることが判明したため、2回目の現地調査を平成24年4月、5月に変更したため経費の計上を繰り越したためにある。また、全国調査にかかわる謝礼について、園によっては、さらに詳細を調査するための追加質問が必要になったため、最終的な礼状発送費及び謝礼のための物品経費が後送りになったためにある。さらに、計画執行したレーザープリンタ購入経費を30%程度軽減することができたことによる。 研究推進のために必要である備品の購入は、23年度に計画的に購入することができたことから、24年度は、海外視察、データ分析、現地視察に関する予算を計画通り執行する予定である。
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