2011 Fiscal Year Research-status Report
高齢者のメンタルヘルスに及ぼす身体活動・運動の影響に関する縦断研究
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23500819
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Research Institution | Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
安永 明智 文化学園大学, 現代文化学部, 准教授 (30289649)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高齢者 / メンタルヘルス / 身体活動 / 体力 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者の運動や身体活動の実態を、加速度センサー付歩数計を用いて客観的かつ精確に把握し、どのような運動や身体活動が高齢者のメンタルヘルスの良好な維持に貢献できるのかを縦断的に調査することを目的に研究を推進している。更に、対象者の体力水準や生活機能についても測定し、その高低や経年的変化がメンタルヘルスの維持・増進にどのような影響を与えるのかについて検討する。 平成23年度は、10月に東京都及び千葉県在住の65歳以上の高齢者約150名を対象に身体活動量とメンタルヘルスの調査、体力測定を実施した。これは、本研究のベースラインデータの収集に相当する。対象者の身体活動量の測定には、加速度センサー付歩数計(ライフコーダPlus、スズケン社製)を用いた。対象高齢者には、加速度センサー付歩数計を最低1ヶ月間以上、毎日、就寝時を除いて終日装着してもらい、歩数や10段階(体動レベル0~9)の活動強度、活動パターンの変化などを詳細に調べた。尚、対象者には、観察期間の終了時まで、可能な限り(最長で2年間)継続して加速度センサー付歩数計を装着してもらい、連続的に身体活動量を測定している。 そして得られたデータをもとに、対象者の身体活動とメンタルヘルスの横断的関連を検討した。身体活動データに関しては、毎日の歩数と中強度(3METs)以上での活動時間について、1ヶ月間の平均としてまとめ、各メンタルヘルス項目との関係を分析した。分析の結果、身体活動の多少は高齢者のメンタルヘルスに影響があること、特に中強度以上の活動時間はメンタルヘルスに強い関連を示すことが明らかとなった。更に、歩行能力などの体力水準の高低もメンタルヘルスに影響を与えることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付金決定の遅れから、1~2ヶ月程度の研究スケジュールの遅れはあるものの概ね順調に研究は進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の調査協力対象者に、メンタルヘルスの追跡調査を実施し、どのような運動や身体活動が高齢者のメンタルヘルスの維持・増進に貢献することができるのかを縦断的に検討する。また、体力や生活機能など、身体活動とメンタルヘルスの媒介変数となりうる可能性のある変数についても調査し、その影響を明らかにする。対象者には、可能な限り加速度センサー付歩数計を継続して装着してもらい、身体活動量の経年変化と体力、生活機能、メンタルヘルスの変化との関係を分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述したように今後の研究を推進していくため、平成24年度は、歩数計の電池などの購入費、データ入力に係る費用、調査票の印刷代、調査協力施設までの交通費、測定補助員の雇用費などが必要となる。また、研究成果を国内外の学会に発表していくための費用などもかかる。尚、平成23年度は、交付決定の遅れから研究の開始が1~2ヶ月程度遅くなったために、アルバイト雇用者に支払う謝金などの分、未使用の研究費が残ることとなった。
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