2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢者のメンタルヘルスに及ぼす身体活動・運動の影響に関する縦断研究
Project/Area Number |
23500819
|
Research Institution | Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
安永 明智 文化学園大学, 現代文化学部, 准教授 (30289649)
|
Keywords | 高齢者 / 身体活動量 / メンタルヘルス / 体力 / 縦断研究 |
Research Abstract |
平成24年度は、平成23年度の調査協力者約120名を対象に、メンタルヘルス(主観的幸福感、抑うつ、健康関連QOL)と体力(握力、開眼片足立ち、10mの通常及び最大歩行速度)のフォローアップ調査を実施した。同時に協力者には、1ヶ月間にわたって加速度センサー付歩数計を装着してもらい、客観的な身体活動量の測定を実施した。平成24年度のその他の調査項目や測定方法などは平成23年度と同様である。 また平成23年得られたデータを基に、高齢者の身体活動量、体力、メンタルヘルスの関係について横断的に分析した。年齢、性別を調整した偏相関分析の結果、1ヶ月平均の中強度(3Mets)以上の身体活動時間と主観的幸福感得点、通常速度歩行と抑うつ得点及び主観的幸福感得点、最大速度歩行と抑うつ得点及び主観的幸福感得点の間に統計学的有意な関係が示された。またメンタルヘルスを従属変数、人口統計学的要因、身体活動量、体力を独立変数とした重回帰分析の結果、最大歩行速度は抑うつ得点及び主観的幸福感得点への最も強い予測因子であることが明らかとなった。結果から、身体活動量や体力レベルが高い高齢者は、良好なメンタルヘルスを維持していることが明らかとなった。特に、中強度以上の活動時間を増やしていくことや歩行能力を維持することは、良好なメンタルヘルスの維持・増進ために重要であることが示唆された。本研究結果は、関連学会で発表するとともに、論文としてまとめ、欧米の関連学会誌に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画に従って、平成23年度調査協力者の身体活動量、体力、メンタルヘルスの変化について追跡調査を実施した。結果の分析やまとめに若干の遅れはあるものの、研究全体は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も、平成23、24年度の計画に従って調査・測定を進めていく。平成25年9月に、最後のメンタルヘルスの調査と体力測定を実施する。測定項目は、過去2年間と同様である。 得られたデータから、メンタルヘルスの変化に及ぼす身体活動の影響について分析する。具体的には、平成23年度に測定されたベースラインにおける身体活動の量(歩数)、質(3METs以上の活動時間)がメンタルヘルスの変化にどのような影響を与えるのかについて詳細に分析する。また、体力や生活機能の変化が高齢者のメンタルヘルスに与える影響についても調べる。加えて、身体活動量、体力、メンタルヘルスの経年的変化の相互関係についても検討する。 更に、これらの研究成果を論文としてまとめていくとともに、学会や市民向けの講演などにおいてその成果を広く公表していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、歩数計の電池などの購入費、データ入力に係る費用、調査票の印刷代、調査協力施設までの交通費、測定補助員の雇用費、学会発表のための費用がかかる。平成24年度同様に、必要に応じて研究成果を国内外の学術誌や学会で発表していく。そのための、論文投稿料、英文校正費用、学会参加費、交通費も必要となる。
|