2012 Fiscal Year Research-status Report
若年の抑うつ早期発見を目指した多角的アプローチによる症例対照研究
Project/Area Number |
23500823
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
飯田 忠行 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (50290549)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 康宏 藤田保健衛生大学, 医療衛生学部, 教授 (40176368)
井上 顕 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40469036)
高野 優 熊本県立大学, 環境共生学部, 助手 (80405571)
原田 俊英 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (60181020)
|
Keywords | 抑うつ / SDS / ストレス / 8-OH-dG / Biopyrrin / セロトニン / TRAP-5b / 女性 |
Research Abstract |
メンタルヘルスの中でうつ病が最も多く、ついで、不安障害が多い。これらの男女比は1:2とも示されており、女性におけるうつ病が多いともいえる。また、我が国では20年程前から若年のうつ病が少しずつ増加しており、最近ではその話題が取り上げられることもある。若年者のうつ病の増加は、特に現代社会の協調意識の低下と競争社会が要因とも考えられている。したがって、若年女性においてうつ病の前段階である抑うつ症状を早期発見することが大切である。そこで、抑うつ症状の早期発見を目的として、若年女性を対象に抑うつ症状群(症例群)と健常者(対照群)との比較を行う症例対照研究である。また、同一対象者に、均一ストレス(国家試験)を 曝露として考える追跡調査を行う。1.抑うつ症状における特徴的なストレス反応物質、生活習慣、身体精神的健康への影響の解明2.均一ストレス(国家試験)における抑うつ症状特有の性格およびストレス反応物質の分析。以上を栄養摂取調査、骨密度測定、ストレス反応物質測定、運動調査など身体・精神的健康面より多角的に解明を目指している。若年女性57名を対象として、月経周期を月経期(月経開始から3日以内)、増殖期(13~15日)、分泌期(23~25日)の3期間に分けた。各期に質問紙調査・ストレス反応物質採取(採血・採尿・唾液)を行った。質問紙は、不安尺度STAI、抑うつ尺度SDS、性格検査NEO-FFI・TCIを用いた。抑うつ尺度より「抑うつ群」、それ未満を「正群常」と判定した。ストレス反応物質は尿中Biopyrrin・8-OH-dG、総エストロゲン・セロトニン・TRAP-5b、コルチゾールを測定した。今後、統計解析により、抑うつ症状とストレス反応物質との関連をより明確にする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
藤田保健衛生大学臨床検査学科に在学する学生に対し、事前に研究内容と方法について十分な説明を行い,文書により同意を得た。説明会に参加した60名のうち58名が同意したが、月経周期が26日以上38日未満の範囲内になかった1名を除く57名を解析対象とした。予算の関係上、ストレス反応物質測定の件数を少なくしたが、国家試験受験前の3年生57名を測定することができた。月経周期を月経期(月経開始から3日以内)、増殖期(13~15日)、分泌期(23~25日)の3期間に分けた。月経周期3期間のストレス反応物質採取も順調に進み測定も順調に実施している。正常と抑うつの判定は、SDSスコアが53点以上を抑うつの可能性ありとし、DSM-IVにおける大うつ病エピソードの基準が2週間以上の症状持続とされていることから、2つの異なる月経周期で抑うつが認められた場合「抑うつ群」10名、それ以外を「not抑うつ群」47名と判定した。総エストロゲン・セロトニン・TRAP-5bは、外注先にて測定を行った。また、尿中Biopyrrin・8-OH-dGの測定は本学医療科学部にて行った。これらのデータを統計解析により、抑うつ症状と性格・ストレス反応物質との関連を成果として示していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の同一対象者に、国家試験を曝露として国家試験受験前後で質問紙調査・ストレス反応物質採取を行った。現在、採取のみの状態のため、総エストロゲン・セロトニン・TRAP-5bは、外注先にて測定、また、尿中Biopyrrin・8-OH-dGは本学医療科学部にて測定を行う。 本研究の成果として 1.抑うつの早期発見のためZungのself-rating depression scale(SDS)のカットオフポイント40点以上を採用し、月経周期に影響されにくいが、抑うつとの関連が高いストレス反応物質の発見を目的として、若年女性を対象に抑うつとストレス反応物質および骨吸収マーカーとの関連を検討する。 2.SDSのカットオフ53点を用いて判定した抑うつの有無と尿中8-OHdGとの関連を月経周期を考慮した上で検討する。 以上2点を焦点に論文化を進め、順次投稿を行う。なお、「1」に関しては英文化が終わり、投稿準備中である。「2」に関しては、論文の形になっており、英文化するのみである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国家試験前後において、現在、採取のみの状態である総エストロゲン・セロトニン・TRAP-5bは、外注先にて測定、また、尿中Biopyrrin・8-OH-dGは本学医療科学部にて測定を行う。したがって、外注による測定費用および尿中Biopyrrin・8-OH-dGのELISAキットの購入費用が必要となる。国家試験前後に採取しているため、30名×2期間、合計60検体分の費用が必要となる。また、ELISAキットにおいてもトリプルチェックを行っているため、3キットずつ、6キット必要となる。 また、上記の「今後の推進方策」にも書いたが、本研究の成果を投稿するための準備を行っており、英文校閲、別刷り費等が必要となる。
|
Research Products
(14 results)
-
-
[Journal Article] Correlation Beween Walking Exercise and Each of Bone density, Muscle Volume, Fluctuation of the Center of Gravity, and Demetia in Middle-Aged and Elderly.2012
Author(s)
Ikeda H, Ishizaki F, Shiokawa M, Aoi S, Iida T, Chikamura C, Tamura N, Harada T
-
Journal Title
International Medical Journal
Volume: 19
Pages: 154-157
Peer Reviewed
-
-
-
-
[Journal Article] 中高年と若年の女性における末梢静脈循環、動脈硬化および身体特性についての比較研究.2012
Author(s)
原田俊英,青井聡美, 壬生実佳子, 池田ひろみ, 石崎文子, 阪井晃,田村典子, 近村千穂,飯田忠行,塩川満久, 堂本時夫,今泉 敏
-
Journal Title
診療と新薬
Volume: 49
Pages: 43-46
-
-
[Journal Article] 中高年女性における末梢静脈循環、動脈硬化および身体特性の季節性変化の解析.2012
Author(s)
青井聡美, 原田俊英, 池田ひろみ,石崎文子, 高瀬智章, 田村典子, 近村千穂,飯田忠行,塩川満久, 堂本時夫,今泉 敏
-
Journal Title
診療と新薬
Volume: 49
Pages: 39-42
-
-
-
-
-
-