2012 Fiscal Year Research-status Report
ヘルシープレートを活用した簡単カーボコントロール法の有用性の検証
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23500825
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
山内 惠子 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 准教授 (90387910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 予防医学研究室, 研究員 (40335443)
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Keywords | ポーションコントロール / 食事療法 / 2型糖尿病 / メタボリックシンドローム / 減量 |
Research Abstract |
欧米では、肥満や2型糖尿病の食事療法のひとつとして、ポーションコントロールがあり、その有用性が報告されている。一方、糖質制限食さえしていれば、たんぱく質や脂質を多く含んだ主菜は好きなだけ食べてもよいというような誤解も広まっている。 今回の研究テーマは、エネルギーと糖質を適度に制限し、減量や血糖コントロールの改善を目指した簡便なカーボコントロールの方法の開発にある。この方法はオリジナルの「ヘルシープレート」(お皿)に主食、主菜、副菜を一定比率で盛り付けるもので、処方方針は糖尿病の食品交換表の分類に基づく、糖質エネルギー比 40~50%となっている。平成22年度から平成24年度にかけて、「ヘルシープレート」の開発及び妥当性の検討を行い、その有用性と効果について明らかにすることを目的に研究を進めている。 平成22年度は成人肥満者を対象としたシェープアップ教室、また、23年度は2型糖尿病患者を対象にカーボコントロール法を取り入れ、その有効性を確認した。 同時に、管理栄養士、患者および学生を対象にヘルシープレートを用いて食事配分指導を実施し、秤量法との比較を行い、プレートによる栄養素配分の妥当性の検討を行った。その結果、総摂取エネルギー、炭水化物、たんぱく質、脂質摂取量他、各種栄養素について指示範囲に盛り付けられ、適合の良さも確認された。また、3群がそれぞれ、処方通りに盛り付けられているかの検討も行い、25年度の糖尿病学会にて発表、現在論文作成中である。 さらに、24年度6月から25年4月までの期間、2型糖尿病患者を2群に分けた比較対象試験を実施し、その有効性も確認できたことから、25年度9月にはスペインの国際栄養学会にて発表。論文投稿予定にある。 さらに、ヘルシープレートの商品化、教育媒体(書籍など)の制作など、最終段階に至る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①カーボコントロールを簡便に行うための、「ヘルシープレート」試作品(科研費外経費)による肥満者及び2型糖尿病患者へのプレテスト介入研究を実施し、体重、血糖値ともに良好な改善を確認した。また、患者自身がプレートに食を盛り付けるだけで、栄養処方通りの摂取栄養状態になること、患者さんの満腹感や満足度も高かったことが確認できた。この成果を糖尿病情報学会に投稿、原著論文となったことから達成度は100%である。 ②このプレートに改良を加え、誰でも簡単に食事療法が行えるヘルシープレートとして完成させた。また、2型糖尿病患者を2群に分け、2012年6月から3ヶ月間実施し(A群)、さらに3カ月以上の期間をあけた2013年1月~翌年4月まで(B群)の比較対象試験を実施し、2群間の比較検討を行った。結果は、良好であり、2013年9月の国際栄養学会で発表予定。研究を終わらせ、学会発表までつなぐことができたことから、達成度100%である。 ③プレートのサイズ別における栄養配分の妥当性の研究:「ヘルシープレート」を用いた減量効果は、すでに検証されたため、プレートのサイズ別における栄養配分の妥当性を管理栄養士、学生、2型糖尿病患者を対象に精査することとした。2013度の栄養改善学会にて一部報告、さらに分析を勧め、2013年5月の糖尿病学会で報告予定。学会発表までつなげたことから達成度80%である。 ④「ヘルシープレート」法の開発:カーボコントロールを簡便に行うための「簡単カーボコントロール法開発が順調に進み、この方法を行うための教材として「ヘルシープレート」を作成し、特許出願できたことから達成度100%である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、これまでに実施して得られた研究成果の発表、指導者研修会の開催や、教材・テキスト製本費など、実践に向けての研究費の使用計画がある。 5月には糖尿病学会にて、プレートのサイズ別における栄養配分の妥当性について、さらに分析を深めたものを発表する。 9月にはスペイン グラナダで行われる第20回国際栄養学会(IUNS 2013)において、2型糖尿病患者への介入研究結果を発表する。 さらに10月には、肥満学会において、過去3年間の簡単カーボコントロール法による研究をまとめ、そこから見えてきたことについて発表する予定である。 さらに、プレートの販売、出版、HP作成などに向けての活動をスタートさせる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スペイン グラナダで行われる第20回国際栄養学会の参加、発表に関わる経費 ヘルシープレートの活用法の普及のための指導書の作成、HPの作成等に関わる経費
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