2012 Fiscal Year Research-status Report
重症心身障害児(者)の自律神経系活動からみた適切な日常生活ケアの検討
Project/Area Number |
23500829
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Research Institution | Hiroshima Cosmopolitan University |
Principal Investigator |
今村 美幸 広島都市学園大学, 健康科学部, 准教授 (60461323)
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Keywords | ストレス / 重症心身障害児(者) / 日常生活ケア |
Research Abstract |
本研究は,意思表示の困難な重症心身障害児(者)(以下重症児(者)という)を対象に,ケアを受ける際の快・不快反応を生理的指標(自律神経系指標および内分泌系指標)を通して客観的に評価し,重症児(者)にとってストレス負荷の少ないケアの方法を探索し検証することを目的とする。そのために,次の3つの研究を行う。 研究①では,日常生活ケアの種類による重症児(者)の反応を自律神経系指標・内分泌系指標を通して評価する。研究②では,環境の変化(場所・介助者)による重症児(者)の反応を自律神経系指標・内分泌系指標を通して評価する。研究③では,①と②の結果をもとに,ストレス負荷の少ない日常生活ケアを提案し,その効果を評価する。 評価には,自律神経系指標として心電図(4chの無拘束型筋電図測定装置を使用),内分泌系指標として唾液アミラーゼ(酵素分析装置アミラーゼモニターを使用)を用いる。同時に,行動観察としてビデオ撮影を行う。心電図は,心拍数(HR)および周波数解析による交感神経系指標(LF/HF)と副交感神経系指標(HF)の推移を検討する。唾液アミラーゼは,ケア前とケア後,ケア終了数分後の3回測定する。 平成24年度は,研究②の環境の変化による日常生活ケア中の重症児(者)の反応を自律神経系指標・内分泌系指標から評価することを目的に測定を行った。対象者は,平成23年度から行っている3名(計画当初は対象者5名を予定していたが,データ分析不可能となることが多かった対象者を除外したため,3名に減少している)とし,日常生活ケアの介助者を施設へ新しく配属となった新人看護師とした。測定は,平成23年度と同様に7時30分からケア行い,日常生活ケアも同様に,口腔ケア・洗面場面および更衣・体位変換場面とした。測定は各々3回ずつ行っている。解析は終了しているが,分析には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年度から担当科目の増加や施設実習の開始,委員会活動における委員長役割等が加わり,業務が多忙となったことが研究活動が遅れた原因である。研究①は,平成24年1月から3月まで測定を行ったが,研究開始後に健康状態の問題で中止した対象者や,筋緊張亢進によりデータとして不適格となった対象者があるなど,計画通りにはいかなかった。平成24年度は,施設側の協力によって多忙な業務の中で研究②の測定を6月から行った。しかし,いずれのデータも心拍数および周波数解析を行ったもののビデオ映像と照らし合わせた分析・評価までには至っていない。現在は,少しずつ分析を開始したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ビデオ映像と照らし合わせて,ケア内容と解析結果との対応をみながら分析し検討する。また,新人看護師による介助時の反応についても同様に分析する予定である。 なお,対象者が予定より少なくなったため,他の対象者へも研究協力を得ようと考えていたが,健康状態が不安定であったり筋緊張が強かったりする者が多く,新たな対象者の選定が困難であった。そのため,平成23年度に分析可能であった対象者3名のみとして研究を行っている。 さらに,味覚刺激や嗅覚刺激による反応の違いについても測定・分析を進めていく必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も,測定時には施設職員や学生などの補助を必要とするため,謝品や謝金が必要となる。さらに,研究を進める上での資料収集や打ち合わせ,成果発表のための旅費も必要である。測定に必要な心電図電極等の消耗品,味覚・嗅覚刺激用の薬品も購入予定である。分析に使用するパソコンの購入も予定している。
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