2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500836
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
井出 幸二郎 筑波大学, 体育系, 助教 (00526783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
征矢 英昭 筑波大学, 体育系, 教授 (50221346)
朝田 隆 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90184142)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 実行機能 / 運動 / 高齢者 / 前頭前野背外側部 / 前頭極 / 神経基盤 / 機能的近赤外線分光装置 |
Research Abstract |
[目的]本研究では、高齢者の実行機能と脳神経活動に対する一過性の中強度の運動の効果を検討することを目的とした.[方法]対象は高齢者33名であった.対象者に自転車エルゴメーターを用いた換気閾値強度による10分間の運動の前後にストループ課題を課し,機能性近赤外線分光装置により課題遂行時の局所脳血流の変化を測定した。対照条件は、運動の代わりに座位安静とした。事前に漸増負荷試験を行い、換気閾値強度を求め、運動強度としたストループ課題は中立課題と不一致課題から構成され、コンピューター画面上段に表示される記号の色と下段の文字の意味の一致・不一致を判断させ、その反応時間と正誤をした.左右の前頭前野背外側部,腹外側部,前頭極を関心領域とした.課題に対する酸素化ヘモグロビンの濃度変化を脳得経活動の指標とした.課題成績,脳活動とも不一致裸課題と中立課題の差を,実行機能を表すストループ干渉として解析に用いた,[結果]条件や時間に関わらず中立課題と比較して不一致課題に対する反応時間は遅く,誤答も高率であった.反応時間と誤答率,それぞれのストループ干渉値に対して,条件×時間の二元配置分散分析を行った結果,反応時間においてのみ有意な交互作用が確認された.条件ごとに反応時間のストループ干渉値の前後の差を算出し比較したところ,運動後,有意にストループ干渉にかかる時間が短縮した.ストループ干渉による酸素化ヘモグロビンの濃度変化を見たところ,左右の前頭前野背外側部,腹外側部,前頭極,全てでストループ干渉による有意な酸素化ヘモグロビンの濃度変化が見られた.さらに,ストループ干渉による酸素化ヘモグロビンの濃度変化に対して条件×時間の二元配置分散分析を行った結果,右前頭極にのみ有意な交互作用が認められた.[結論]高齢者において、中強度の運動により実行機能が高まり、その背景に代償機能の亢進があることが示唆された。
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