知的障害者に適した生活習慣病を予防するための運動とその評価法の検討

2011 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 23500841
• Research Institution: Shimane University
• Principal Investigator: 木原 勇夫 島根大学, 医学部, 准教授 (20116396)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 橋本 龍樹 島根大学, 医学部, 助教 (90252907) ; 松本 暁洋 島根大学, 医学部, 助教 (70346378)
• Project Period (FY): 2011-04-28 – 2014-03-31
• Keywords: 知的障害者 / 生活習慣病

Research Abstract

知的障害者福祉施設の入所者のうち男性2４人（平均年齢28.9歳）、女性5人（平均年齢33歳）を被験者として選定した。知的障害の原因において、6人はダウン症候群など疾患名が判っており、8人は先天性の疾患が疑われ、8人は新児仮死など後天的な原因がわかっており、7人は原因不明であった。運動を開始前の平成23年9月に、身長、体重、BMI、体脂肪率、血圧、空腹時血糖値、血中総コレステロール値、中性脂肪、血中尿酸値、骨密度、MRI画像の解析による股関節の屈曲筋である大腰筋の体積を計測した。その結果、BMI25%以上の方が男女5人、体脂肪率25％以上の方が男子７人、30％以上の方が女子4人、腹囲85cm以上の男子9人、90cm以上の女子2人であった。血液検査において、全体で高血糖の方が1人、高脂血症の方が2人、高尿酸血症の方が6人あった。骨密度の検査では、同年齢の平均と比較して90%未満の方が、男女で14人あった。左右の大腰筋の体積計測において左右差が5%以上ある方が12人あった。運動開始前の身体測定および検査から、知的障害者の健康上の問題として、肥満、骨密度の低下、高脂血症、高尿酸血症が挙げられた。被験者を運動器具別にトレッドミルに男性6人、乗馬運動器に男性5人、女性2人、エアロバイクに男性5人、女性2人に指定して運動を開始した。運動をしない対象群は、男性８人と女性１人とした。週に3回15分程度指定された運動を施設職員の監視下で行った。平成24年4月の身体測定の結果、運動群の男性3人と女性2人が2kg以上の体重減少、腹囲の低下、体脂肪率の低下を認めた。行った運動は4人がエアロバイクで、1人がトレッドミルであった。この結果、本人の意思に左右されるエアロバイクが減量には有効と考えられた。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成23年度9月に、保護者の同意が得られた知的障害者29人の本研究への参加が決定し、研究を開始した。また、被験者に行っていただくトレーニング機器の選定は、施設の看護師の助言をもとに決定したが、1人のみ運動に苦痛を感じている様子のため、開始後2週間で運動をしないグループに入っていただいた。約7か月経過するが、おおむね楽しんで運動に参加していただいている。

Strategy for Future Research Activity

本研究の推進には、知的障害者福祉施設の職員のご協力が不可欠である。定期的に意見交換を行っているなかで、これまでは被験者の運動状況を、その都度コンピューターへ入力していただいていた。しかし、施設の業務に支障があるため、簡単に調査票へ記入していただき、3か月ごとに大学でそのデータを入力することにした。また大腰筋の体積の計測において解像度を上げたためMRI画像の解析において一人あたりの画像枚数が当初の予定より増加し、解析に時間がかかるようになった。このため、新たに購入した画像解析用コンピューターを使って、迅速に行うことにした。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

測定機器設置場所が限定され、購入機器台数が少なくなった為に残額が生じた。次年度は本年度の残額を合わせた予算で、協力していただく施設の職員の負担を軽減と迅速なMRI画像の解析のために、医学部学生による入力及び解析の補助時間が多くなり、謝金を前年度より増加させた。また、血液検査項目の追加やＭＲＩ画像の追加などに使用する計画である。それ以外は、測定機器の記録用紙等の消耗品の補充、骨密度検査など前年度と同程度の支出を予定している。