2012 Fiscal Year Research-status Report
一般住民における身体組成が心血管病発症および死亡に与える影響:久山町研究
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23500842
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸本 裕歩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (00596827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 利治 九州大学, 大学病院, 助教 (30571765)
熊谷 秋三 九州大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80145193)
清原 裕 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80161602)
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Keywords | 身体組成 / 死亡 / 心血管病発症 / 久山町研究 / 地域住民 / コホート研究 |
Research Abstract |
平成24年度は,全身の筋肉量および体脂肪率と総死亡の関連を前向きに検討した.平成19年の久山町循環器健診を受診し,身体組成や他の解析項目に不備の無い2928名(男性1270名,女性1658名)を対象とした.追跡期間は対象者それぞれの健診受診日から平成25年4月7日までとした.追跡期間に144例の総死亡をみた.統計解析にはCox比例ハザードモデルを用い,多変量解析の調整因子には年齢,性別,収縮期血圧,降圧薬服用,糖尿病,総コレステロール,BMI,心血管病の既往歴,喫煙,飲酒,定期的な運動とした.その結果,全身の筋肉量が多いほど総死亡のハザード比は有意に低く,多変量調整後も変わりなかった.一方,全身の体脂肪率と総死亡には関連を認めなかった.全身の筋肉量と死亡の関連の層別解析を行った結果,高齢者,男性,有疾患者において全身の筋肉量の影響はより強いが,危険因子の有無にかかわらず全身の筋肉量と死亡の間に統計的有意な負の関連を認めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、平成19年度の久山町生活習慣予防健診の受診者を対象とした5年間の追跡調査より、全身の筋肉量および体脂肪率と総死亡の関係について結果を示した。また、今年度の生活習慣予防健診でも身体組成のデータ収集を行い、身体組成の経年変化に関する解析準備を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは今年度の解析データセットにより、全身の筋肉量または体脂肪率と死因別死亡および心血管病発症との関連を解析する。次に、追跡調査を継続して症例を集める。さらに、得られた研究成果を研究分担者・統計専門家と協議し、その後、国内外の学会で発表するとともに、論文化を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)心血管病発症および死亡の情報収集のため、引き続き追跡調査を実施する。その一環として、平成25年度も生活習慣病予防健診を実施し、臨床検査の情報を収集する。生活習慣病予防健診では、医師や訓練されたスタッフによる問診や測定(脳・心血管病、悪性腫 瘍を含めた生活習慣病の発症に関する情報やその他の疾患の既往歴、家族歴、飲酒・喫煙・運動・食習慣などの生活習慣)、医師による診察身体計測(身長、体重、身体組成、腹囲/腰囲)、血圧測定、心電図、胸部エックス線検査、呼吸機能検査、眼底検査、血液検査(血計、血明生化学、HbA1cなど)、検尿、75g経口糖負荷試験を行う。前年度と同様に、生活習慣病予防健診の未受診者、転出者へのアンケート調査、久山町周辺の病院への定期的な訪問調査、心血管病発症や死亡に関する情報を収集する。また、死亡例については、病理解剖の承諾を得るよう努力し、死因を精査する。 2)得られた研究成果は、国内学会および国際学会での発表、英文誌への投稿を予定している。また、九州大学大学院医学研究院環境医学分野のホームページ(http://www.med.kyushu-u.ac.jp/envmed/index.html)に研究成果を掲載し、広く情報を発信する。
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Research Products
(8 results)