2013 Fiscal Year Research-status Report
運動が脳・内分泌系を介して食欲・食行動を制御する機構を考慮した新規運動処方の作成
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23500848
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉川 貴仁 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10381998)
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Keywords | 食欲 / 運動習慣 / 脳磁図 / 質問紙 |
Research Abstract |
本研究では、運動が食欲・食行動に対して与える影響を脳科学的に理解し、生活習慣病や肥満者に対する新たな生活指導法の作成を目指す。 昨年度までの研究で、①ヒトの食行為の最終的段階である『食意欲』の強さが、普段の運動習慣の少なさ(Non-exercise life-style)と正相関することを見出し、本年度はこの結果を海外学術誌に論文報告した(Yoshikawa T, et al., Med Sci Monit. 2013; 19: 289-294)。さらに、②食品の画像提示とともに食意欲を湧かせた時に生じる脳神経活動を脳磁図解析(等価電流双極子法)により調べた結果、食に関する種々の感覚情報を集約する中枢とされる島皮質の神経活動が画像提示後300ミリ秒前後で観察され、その活動の強さは日常生活における各人の食意欲の強さやBody mass index(BMI)と正相関することを見出した。本年度はこの結果を海外学術誌に論文報告した(Yoshikawa T, et al., Med Sci Monit. 2013; 19: 631-640)。 さらに本年度は、食意欲を意識的に抑制させたときの脳神経活動に関して調べた。具体的には、若年成人被験者を対象に、12時間空腹条件で食品の画像提示とともに<食べよう>と念じるとき(食意欲)と<食べてはいけない>と念じるとき(食意欲抑制)の脳神経活動の違いを脳磁図(周波数解析法)で検討した。その結果、食意欲を抑制する条件では、思考・行動の認知的制御の役割を果たすとされる背外側前頭皮質(DLPFC)の有意な神経活動を、画像提示後500-600ミリ秒後にθ帯域(4-8Hz)の事象関連脱同期現象として認めた。また、運動プログラムの準備・導入をするとされる補足運動野(SMA)の活動を、200-300ミリ秒後にβ帯域(13-25Hz)の事象関連同期現象として認めた(Yoshikawa T, et al., Brain Res. 2014; 1543: 120-127)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの研究で、身体活動を怠る習慣(Non-exercise life-style)が食意欲を亢進させる可能性を見出している。加えて、これまでの成果である食意欲に関する島皮質での神経活動と、本年度の食意欲抑制に関する実験結果を結び付けて、食意欲とその抑制の均衡を生じさせる脳神経システムの時間的・空間的動態を明らかにできた。以上を総合的に考えて、食意欲とその抑制の均衡システムに働きかける身体活動の役割の可能性を調べる研究として、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までに解明してきた、ヒトの食意欲とその抑制の均衡を生じさせる脳神経システムの時間的・空間的動態に関する知見を基にして、種々の介入により食意欲とそれに関わる脳神経活動がどのように変化するかを検討する。特に、昨年までの研究成果で各種の感覚情報を統合する島皮質が食意欲の形成に重要な役割をしていることが判明したので、身体運動をイメージする感覚情報を(直接身体を動かす代わりに)与えたときの変化に注目したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度までに、ヒトの食意欲とその抑制の均衡を生じさせる脳神経システムの時間的・空間的動態を解明するために、ヒトを対象にした基礎的実験に時間を要したため、介入を用いたフィールド研究に至っていないため、未使用額が生じた。 次年度に、ヒトを対象として、運動(イメージ)を与える介入を行った際の脳神経学的な変化に伴う食意欲・食行動の変化を検討する予定である。
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