2012 Fiscal Year Research-status Report
変形性股関節症患者における症状重篤度に関連する因子
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23500849
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
近藤 亨子 大阪市立大学, 医学部, 技術職員 (80420727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大藤 さとこ 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70433290)
福島 若葉 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70420734)
前田 章子 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40250279)
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Keywords | 変形性股関節症 / 臼蓋形成不全 / 疫学 / リスク因子 / 機能障害 / 重篤度 / 体重 / 生殖歴 |
Research Abstract |
わが国の変形性股関節症(Hip OA)発症者は年々増加しており、生活の質や医療費へ大きな影響を与えるため、予防対策は喫緊の課題となっている。本研究は、日本人Hip OA患者の重篤度(患者評価、臨床評価)と関連する因子を明らかにする。 初年度は、女性Hip OA患者を解析対象とし、患者評価による機能障害重篤度と関連する因子を明らかにした。本年度は、日本で多くみられる臼蓋形成不全に起因する二次性Hip OA患者を解析対象とした。結果指標は、2つの臨床評価による重篤度:(1)股関節機能重篤度(日本整形外科学会股関節機能判定基準(新JOAスコア))、(2)医師診断による病期分類(前関節症・初期 / 進行期・末期)とした。以下3点に焦点をあて、Logistic regression modelのBinary modelとProportional odds modelを用いて、各因子のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出してHip OA重篤度との関連を明らかにした。 (1) 女性患者の股関節機能重篤度(新JOAスコアによる)と関連する因子を検討した。「高齢」、「出産数が多い」、「現在喫煙」は、股関節機能が悪いことと関連を示し、身長が高い者ほど股関節機能がよい傾向がみられた。 (2) 体重(20歳時、40歳時、現在、変化)とHip OA重篤度(医師診断による病期分類)との関連を検討した。片側罹患例、両側罹患例に拘らず、「20歳時から40歳時にかけての体重増加」および「40歳時体重」は、診断時重篤度に影響する可能性が示唆された。 (3) 女性患者の生殖歴(初潮年齢、月経期間、閉経、妊娠、出産、母乳)とHip OA重篤度(医師診断による病期分類)との関連を検討した。「初潮年齢が早い」、「月経期間が長い」、「出産回数が多い」は、診断時重篤度と関連を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、全国15病院の整形外科において初めて変形性股関節症(Hip OA)と診断された患者を対象として重篤度(患者評価、臨床評価)と関連する因子を明らかにする。 初年度は、平成18~20年度実施の日本整形外科学会プロジェクト研究「日本人における臼蓋形成不全による変形性股関節症に関する疫学調査」から患者記入用調査票(股関節疾患アンケート調査)、医師記入用調査票(Hip OA病期、新JOAスコア)の情報を収集し、データチェック・コーディング・SASデータ変換を行ない、本年度は、臼蓋形成不全による変形性股関節症患者に限定したデータベースを構築した。 初年度は、Hip OA患者を解析対象とし、患者評価による機能障害重篤度と関連する因子を明らかにした。本年度は、解析対象を臼蓋形成不全によるHip OA患者に限定した。結果指標は、臨床評価による重篤度(1)股関節機能重篤度(日本整形外科学会股関節機能判定基準(新JOAスコア))、(2)医師診断による病期分類(前関節症・初期 / 進行期・末期)、目的変数は、身体測定値、生殖関連因子(女性)、内科・外科治療歴、学歴、職業、生活習慣とした。体重、女性の生殖歴に焦点をあて、Hip OA重篤度(病期分類による)との関連について詳細に検討した。 研究成果は、第71回日本公衆衛生学会総会にて「臼蓋形成不全による変形性股関節症患者の股関節機能に関連する因子」、第23回日本疫学会学術総会にて「臼蓋形成不全による変形性股関節症患者の疼痛と歩行能力に関連する因子」、第71回日本公衆衛生学会総会、および第23回日本疫学会学術総会にて「臼蓋形成不全による変形性股関節症患者の体重と診断時重症度との関連」、第23回日本疫学会学術総会にて「臼蓋形成不全による変形性股関節症女性患者の生殖歴と診断時重症度との関連」を報告した。 以上、ほぼ計画どおり研究を遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
男性の変形性股関節症(Hip OA)患者におけるHip OA重篤度と関連する因子を検討する。ただし、男性患者の例数が少ないため、解析が困難な場合は、性を調整因子に加えて男女全体で解析する。結果指標は、(1)患者評価による重篤度:機能障害(支えなし歩行可能距離、歩行時ささえ使用、立ち仕事、腰かける、立ち上がり、車やバスの乗降、階段昇降)、痛み、(2)臨床評価による重篤度:股関節機能 (日本整形外科学会股関節機能判定基準(新JOAスコア))、医師診断による病期分類(前関節症・初期 / 進行期・末期)とする。患者評価による「痛み」は、バススケールにて情報を収集しているため、カテゴリー化して検討する。新JOAスコアは、総合評価だけではなく各項目(疼痛、可動域、歩行能力、日常生活動作)にも着目して解析を行なう。説明変数は、年齢、身長、体重(20歳時・40歳時・現在)、過去の股関節の痛み、股関節の外傷歴、内科・外科での治療歴、学歴、最も長く従事した職業、スポーツ(過去・現在)、正座、喫煙・飲酒・食品摂取・牛乳摂取・健康食品摂取習慣とする。解析は、Logistic regression modelのBinary modelとProportional odds modelを用いて、個人特性の影響を同時に考慮した多変量モデルを構築し、Hip OA重篤度との関連を検討する。多変量モデル構築にあたっては、先行研究にて報告されたリスク因子、他部位(膝等)の変形性関節症関連因子に加えて、本研究(初年度、本年度)で明らかになった関連因子にも着目する。 男性、女性、全員を対象として「患者評価によるHip OA症状重篤度と関連を示した因子」と「臨床評価によるHip OA重篤度と関連を示した因子」を比較検討する。 以上より得られた成果については学会発表、研究期間全体の研究成果については論文発表を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)