2011 Fiscal Year Research-status Report
種々の脂質摂取が大動脈機能に及ぼす効果についての検討
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23500851
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
加園 恵三 城西大学, 薬学部, 教授 (90177387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹之内 康広 城西大学, 薬学部, 助手 (30582233)
角田 伸代 城西大学, 薬学部, 講師 (60337483)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 糖尿病合併症 / 血管内皮細胞 / n-3系多価不飽和脂肪酸 / 一酸化窒素 / EPA / DHA / パルミトオレイン酸 |
Research Abstract |
糖尿病の罹患により血管機能、特に血管内皮細胞に障害を生じ、種々の合併症を誘発することが知られている。本研究課題では、不飽和脂肪酸摂取が胸部大動脈の一酸化窒(NO)産生や血管の弛緩反応に及ぼす効果を検討する。特に、n-3系多価不飽和脂肪酸(EPA、DHA)、1価不飽和脂肪酸(パルミトオレイン酸)が血管内皮細胞のNO産生や血管の弛緩反応に及ぼす効果とその機序について、2型糖尿病・肥満モデルマウスを用いて、ex vivoおよびin vitroで検討する。本年度の実験において以下の知見が得られた。1)KKAy マウスから摘出した胸部大動脈は、対照群であるC57Bl/6J マウスに比べて、nitroprusside sodium(NO ドナー) による内皮非依存性弛緩反応では変化が見られなかったが、acetylcholine 及び clonidine による内皮依存性弛緩反応に減弱が見られた。2)摘出胸部大動脈に EPA 及び DHA を累積投与したところ、弛緩反応が見られた。3)EPA 及びDHA による弛緩は、NO 合成酵素阻害薬である、N-Nitro-L-arginine (L-NNA)の前処置により、弛緩反応に減弱傾向が見られた。NO は血管内皮細胞から産生され、血管拡張作用・血小板凝集抑制作用・血管平滑筋増殖抑制作用など、抗動脈硬化作用を持つ。KKAy マウス摘出胸部大動脈において、内皮依存性弛緩反応に減弱を来したことから、NO の産生低下やバイオアベイラビリティーの低下が考えられる。一方で、EPA および DHA により弛緩反応が生じること、L-NNA により減弱することにより、不飽和脂肪酸には NO を遊離する作用や血管拡張作用があることが示唆される。以上より、血管弛緩を示す不飽和脂肪酸を多く含有する餌を与えることにより、血管障害の改善効果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)動物実験系がほぼ確立された。糖尿病モデルマウスの飼育、胸部大動脈の分離、マグヌス装置を用いた大動脈機能の解析システムを確立した。2)マウスより摘出した胸部大動脈を用いたex vivoの実験により、n-3系不飽和脂肪酸であるEPAおよびDHAによる大動脈弛緩反応増強効果を確認することができた。3)2)で得られた知見のメカニズムの解明は、重要な研究課題である。4)in vivoの実験は次年度以降に予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)in vivoでの実験を開始する。EPAまたはDHA含有の餌で糖尿病モデルマウスを長期間(10~15週程度)飼育し、その後胸部大動脈の機能をex vivoで解析する。2)今年度得た知見およにin vivo実験で得られた結果のメカニズムを解析する。n-3系脂肪酸の生理学的作用の機序は十分には解析されていない。また、EPAやDHAの血管機能に及ぼす作用のメカニズムに関しては、新たな発見としてだけでなく、糖尿病合併症の親展阻止の治療開発の観点からも重要であると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)マウスの購入、餌の作成。マウスにはKKAy肥満・糖尿病モデルマウスの使用を考えているが、1匹当たりの価格が効果であることから、ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスの作成も考慮する。EPA、DHA、一価不飽和脂肪酸のパルミトオレイン酸などは高価であり、綿密な動物実験計画を立てて実施する予定である。2)マグヌス装置による胸部大動脈弛緩反応の実験システムの充実。今後、in vivoおよびex vivoの実験数が増加するため、大動脈機能解析実験システムをより充実させる予定である。3)種々の試薬、アッセイキット、消耗品の購入。
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