2012 Fiscal Year Research-status Report
体脂肪分布、血中脂肪酸分画、フィットネスに及ぼす2種類の運動介入の効果の比較検討
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23500854
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河合 俊英 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10276230)
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Keywords | 遊離脂肪酸分画 / 運動処方 |
Research Abstract |
血中遊離脂肪酸の過剰、ことに飽和脂肪酸の過剰が2型糖尿病発症に寄与することが報告されている。有酸素運動による糖尿病発症予防効果を期待し、運動開始前のヒト血中脂肪酸分画と体脂肪組成、経口糖負荷試験時の各指標との関連を検討した。開始時点までに、OGTTを実施した83 例(男46/女37, 平均年齢52.4±12.2歳(mean±SD), 空腹時血糖 106.7±16.8mg/dl, HbA1c 5.3±0.5% (JDS値))を対象とし、空腹時血清にて遊離脂肪酸24分画を、臍高部CT スキャンにて、内臓脂肪面積、皮下脂肪面積、肝脾コントラストを測定した。この結果、運動による開始前にはDMでは、IGT, NGTに比較して、主要脂肪酸分画のうち、血中リノール酸濃度が有意に低く、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸濃度が有意に高かった。血中リノール酸濃度は糖尿病の発症について内臓脂肪面積、HOMA-IRと逆相関、ISI(comp)と正相関していることと関連する可能性がある(第54回日本糖尿病学会年次学術集会(2011年5月)、第71回アメリカ糖尿病学会(2011年6月)にて発表)。 開始前の横断的評価を終えた後に、有酸素運動指導のためのメディカルチェックのツールとして我々が独自に考案したトレッドミルプロトコールKEIO-SENIORを用いて運動処方を行った。上記の83例のうち43例(男15/女28, 平均年齢54.3±10.9歳(mean±SD)), にて運動処方実施前後での体重、糖代謝への影響を検討し報告した。運動処方後6ヶ月にて有意な減量効果、血圧、糖代謝の改善を認め、第55回日本糖尿病学会年次学術集会(2012年5月)、第72回アメリカ糖尿病学会(2012年6月)、第33回日本肥満学会学術集会(2012年10月)にて報告した。現在、脂肪酸分画の評価を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動処方による開始前の横断的検討の評価の症例は83例であるが、現時点で実際に運動処方を実施でき、長軸的に評価できた症例は43例である。現在、当大学医学部での倫理委員会で、電子管理による「臨床研究管理システム」の登録を開始しており、このシステム稼働に連動させるために、新規の開始症例が減少している。長軸的に経過観察する症例については引き続き外来で経過観察している。
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Strategy for Future Research Activity |
慶應義塾大学病院内科外来(自身で担当)において、該当症例についてスポーツ医学総合センター外来(自身で担当)に紹介し、具体的な運動処方(有酸素運動群としては、メディカルチェックとしてのトレッドミルKEIO-SENIORプロトコールを用いてウォーキングを中心とする運動処方)の評価を継続する予定である。さらには、ウォーキングの継続が困難な症例について、筋力トレーニング中心の運動指導群の評価を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
順調に症例数が増えてきたが、現在、新規の開始症例が減少している。今後、症例数を増やすことで、インスリン、遊離脂肪酸分画、レプチン、アディポネクチンなどのアディポサイトカインの検体測定にかかる費用に使用する。また、運動処方実施症例の6ヶ月後、1年後の代謝指標の検体測定にかかる費用に使用する。また、成果および進捗状況を発表するための学会参加のための費用に使用予定である。
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Research Products
(4 results)