2012 Fiscal Year Research-status Report
ペプチドの点鼻投与と運動療法を用いた肥満解消の新戦略
Project/Area Number |
23500863
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
竹ノ谷 文子 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (30234412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
影山 晴秋 桐生大学, その他部局等, 准教授 (00433839)
鈴木 勉 星薬科大学, 薬学部, 教授 (90130757)
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Keywords | ニューロペプチドW / 神経ネットワーク / 抗肥満作用 / GPCR / 摂食調節 / 機能形態学的解析 |
Research Abstract |
我々は、抗肥満ペプチドであるニューロペプチドW(NPW)を用い、簡易的で痛みの伴わないNPWの点鼻投与と運動を組み合わせた効率的な肥満解消を狙っている。本年度は、その基盤研究として、NPWの抗肥満の作用機序を明らかにするることを主とし、マウスを用い、まずNPW点鼻投与での摂食量行動等を測定し、体重と摂食量の減少を確認した。さらに、NPW投与による摂食抑制経路の脳内ニューロンネットワークの詳細を解析するため、既に明らかにされている弓状核のニューロペプチドYやPOMCを介した系以外の存在を調べた。その結果、室傍核でのNPWニューロンとCRHニューロンの神経相関を光顕および電顕的に明らかにし、NPW投与における室傍核のc-Fos発現を観察し、そのターゲットはCRHニューロンであり、バソプレッシンやオキシトシンでないことが明らかになった。さらにCRHアンタゴニストの前投与により、NPW投与による摂食抑制作用はキャンセルされたことから、NPW摂食抑制の経路に室傍核のCRHニューロンを介した系も存在することが明らかになった。このことからNPWは摂食調節の他に、ストレスにも関与していることが示唆された。 さらに、NPWの抗肥満作用は食餌誘発性肥満マウスであるDIOマウスにおいても確認することができた。また、NPW点鼻投与による抗肥満効果を血液検査により調べたところ、血糖値等の低下が見られた。 NPW投与による末梢臓器の糖の取り込み部位については、骨格筋での取り込みがみられたが、臓器については現在実験中であり、今後、継続して実験を進めている。 これらのNPWの抗肥満作用の実験結果は、国内および国外の学会で発表しており、NPWは抗肥満ペプチドとして認識されるようになった。さらにNPWの生理作用や脳内における機能形態解析については英文総説やチェプターなどで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、実験計画の1つに、抗肥満ペプチドであるNPW点鼻投与の新規DDS(ドラックデリバリーシステム)開発に向けた基礎データを得るため、NPW投与による血液脳関門(BBB)の透過性を調べるへ報告する予定であった。しかし、実験協力者が海外の研究者であるため、他の実験計画に比べるとスムーズな実験遂行が出来ず、本年中に有効な成果報告までには至らなかった。 有効なデータが得られなかったその他の原因として、NPWは暗期と明期、さらに長期と短期において摂食調節作用が異なるため、NPW投与のタイミングを検討する必要が考えられた。また、点鼻投与のスキルも影響することが考えられるため、投与法をの確立が重要であると考えられる。 今後は実験協力者が、短期出張する予定であり、その際にミーティングを行ってもらい、手法の確認をすように計画を立てる。引き続き、BBBの透過性の評価実験を平行して進め遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、NPW点鼻投与と走行運動の相乗効果による抗肥満作用を調べる実験を主として行っていく予定である。そのため、野生マウスと肥満モデルマウスを用い、回転かご運動に馴化させた後、NPW点鼻投与後に運動を行わせ、摂食量および体重抑制効果、さらに血液検査血糖値(血中コレステロール等、血中脂肪、GOT, GTPなど)を調べる。本年度でNPWはストレス作用に関与することが示唆されたので、走行運動をすることにより、HPA系が刺激され、摂食行動にも変化が見られることが予想される。その為、ストレスと運動強度や運動時間の関係などにも注意をはらって、NPWの抗肥満作用効果が得やすい条件を探る。遅れているNPW投与によるBBB透過性評価の実験については、協力者である、野中、William A. Banksらと、実験手順の見直しをミーティングや密な情報交換を密に行い、他の実験と平行して行い、遅れをとらないように、実験を遂行していく予定である。 また、点鼻投与のスキルの違いよる抗肥満作用への影響も考え、投与の手順や時間などを確立し、いつも同じコンディションで投与出来るように点鼻投与をトレーニングするようにする。 今回、成果の得られた、NPWのCRHを介した摂食抑制作用についての実験成果を論文にまとめ、次年度中に投稿し発表する。さらに国際学会(北米神経科学会、ヨーロッパスポーツ科学会議など)や国内での学会も積極的に参加し、研究成果を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の消耗費関係は、昨年に引き続き、肥満モデル動物関連の購入と、動物管理をするための動物維持費、さらにNPW点鼻投与実験を行うための、抗体、試薬等、さらに実験機具等の購入が中心となる予定である。 旅費については、海外で行われる北米神経科学会やヨーロッパスポーツ科学会議で研究発表を行う予定である。国内においても、日本体力医学会、日本解剖学会、日本肥満学会など、毎年参加している学会では研究成果を積極的に発表する予定である。 その他の研究費では、研究論文発表のための投稿料、論文校閲料が必要となる。 謝金等については現時点では使用する予定はないと思われる。このようなことから、本年度の研究費全体の使用割合は消耗費と旅費がの割合が多くを占めると考えられる。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] Neuropeptide W induced hypophagia is mediated via a CRH neurons2013
Author(s)
Takenoya, F., Kageyama, H., Hirako, T., Ota, E., Yamamoto, N., Ryushi, T., Shioda,S.
Organizer
Neuroscience 2013
Place of Presentation
San Diedo, California
Year and Date
20131109-20131113
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[Presentation] Takenoya, F., Kageyama, H., Hirako, T., Ota, E., Yamamoto N., Ryushi, T., Shioda,S.2013
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