2012 Fiscal Year Research-status Report
性周期からみた持久的運動がDNA損傷に及ぼす影響とそれに伴う乳癌誘発の可能性
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23500867
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Research Institution | International Pacific University |
Principal Investigator |
安田 従生 環太平洋大学, 体育学部, 講師 (00467119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷岡 利裕 昭和大学, 薬学部, 助教 (80360585)
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Keywords | 応用健康科学 / 運動処方 / 運動療法 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
平成23年度においては、性周期におけるホルモンレベルとDNA損傷及び修復に関して顕著な差が見られなかったことを報告した。このことは、長時間で中強度の運動が及ぼすDNAの損傷及び修復が17β-estradiol濃度と関連性が低いということが示唆された。 平成24年度では上記の結果を受けて、さらに、性ホルモンレベルとDNA損傷及び修復について検討を進めた。詳細には、17β-estradiol濃度が低い卵胞期にある女性被検者と男性被検者(コントロール群)を比較し、中強度で長時間の運動が誘発するDNA損傷における性差を検討した。その結果、長時間で中強度の運動が及ぼすDNAの損傷及び修復において、性差も見られないことが判明した。さらに、17β-estradiol濃度の影響を自律神経系や免疫系機能の側面からも検討し、性周期に差が無いことが明らかとなった。集約すると、中強度で長時間の運動が誘発するDNA損傷は一過性であり、発癌する可能性は低いことが示唆された。 平成25年度(最終年度)では、性周期からみた長時間で中強度の運動が、乳癌誘発の可能性を下げることができるかどうかを尿中の乳癌関連マーカーを用い検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度における到達度目標は、主な解析の第1段階として、運動後のDNA損傷とその修復のバランスを示す尿中8-hydroxy-2’-deoxyguanosine (8-OHdG) を定量することであった。運動強度を設定するための最大運動及び長時間で且つ中強度の運動が及ぼす影響を検討するための最大下運動を実施し、8-OHdGの定量も完了した。これらのことは、研究計画通りである。 平成24年度では、前年度の結果を検証するために、性ホルモンレベルとDNA損傷及び修復についてより詳細な分析を進め、17β-estradiol濃度が低い卵胞期にある女性被検者と男性被検者(コントロール群)を比較し、中強度で長時間の運動が誘発するDNA損傷における性差を検討することができた。その結果、長時間で中強度の運動が及ぼすDNAの損傷及び修復において、性差も見られないことが判明した。平成23年度及び平成24年度における結果を集約すると、中強度で長時間の運動が誘発するDNA損傷は一過性であり、発癌する可能性は低いことが示唆された。 平成25年度では、中強度で長時間の運動が乳癌誘発の罹患率を下げる可能性があるかどうについて、乳癌関連するマーカー(尿中2-hydroxyestrone及び16α-hydroxyestrone)を中心に定量する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度における研究結果(性周期によるDNA損傷及び修復に関する顕著な差はない)に基づき、平成24年度は性ホルモンレベルとDNA損傷及び修復についてより詳細な分析を進めた。また、DNA損傷や修復に付随する免疫系や自律神経系機能の測定も同時に実施した。平成25年度では、平成23~24年度による解析結果を受けて、乳癌誘発に関連するマーカー(尿中2-hydroxyestrone及び16α-hydroxyestrone)を中心に定量する予定である。平成23年度~平成25年度までの研究で、“長時間で中強度の持久性運動は女性の乳癌予防に役に立つかどうか”ということについて明らかにする所存である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度における研究結果(性周期によるDNA損傷及び修復に関する顕著な差はない)に基づき、平成24年度では、DNA損傷や修復に付随する免疫系及び自律神経系機能を測定するために必要となった一連の必要物品(試料、キット)及びその他の物品(消耗品等)に使用した。さらに、上記の費用に加え、平成23年度で実施した実験における被検者への謝礼金や国内外での学会発表で必要となる旅費を使用した。平成25年度では、平成24年度の結果を受けて、乳癌誘発に関するマーカーの測定と国内外での学会発表(日本生化学学会、日本体力医学会、オーストラリアスポーツ医学会、アメリカスポーツ医学会等)で必要となる旅費に使用する計画である。
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