2011 Fiscal Year Research-status Report
高齢者介護を支える家族・専門職ネットワークに関する基礎的研究
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23500877
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高田 洋子 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (80171445)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高齢者介護 / 地域福祉 / 介護意識 / 専門職 / ネットワーク |
Research Abstract |
初年度である23年度は,研究枠組みの具体化を考え,医療・福祉・保健各領域でのこれまでの研究成果と各領域で現実に取り組まれている課題の把握と研究水準の確認をまず行うことにした。その上で予定する調査地域に関わる自治体財政分析,高齢者福祉施策と高齢者生活の概要を把握し,翌年度の本調査に備えることにした。1)医療福祉保健各領域での研究課題と研究水準の確認地域福祉の現場では医療・福祉・保健各領域の連携が,今,大きな課題になっており,各領域でのこの課題の位置づけと現在の具体的な実践課題,またその研究水準を,文献の検討と,各領域の学会等への参加によって行った。(1)地域社会を構成する住民自身の相互支援としての「気づき」への期待は大きい。またその有効性を高める地域での専門職ネットワークの構築が,病院や施設も巻き込んだ「地域包括ケア」や福祉領域での小規模多機能居宅介護事業などとして始められている。「共通言語の確立」など,まだ越えるべき課題群が多い。(2)家族介護の位置づけがあらためて検討課題となり,施設や病院に代わる地域での在宅24時間介護への移行は,果たして家族の負担を軽くすることになるのか,実践上も理論上も議論になっている。私たちの実証課題でもある。地域福祉計画の再構築,成年後見制度の市民化,福祉教育プログラムの開発や住民自治への接続など,いずれの課題にも関連している。2)調査地域は福井県大野市か池田町,埼玉県所沢市を予定し,それぞれの自治体財政の基礎分析を始めた。また高齢者福祉施策の概括的な把握を行った。現地での関係者への面接調査は未了であるが,24年度にあわせて課題とする。大野市および所沢市は地域福祉計画等の策定を終わっており,地域福祉サービスの展開も一定水準で行われている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
私たちの研究主題にそって,医療・福祉・保健各領域の相互連携や専門職ネットワークの構築に関わる研究段階や水準の確認を行い,翌年度以降の現地での調査枠組みの的確な構築をすすめる作業の比重が大きくなり,調査地現地での関係者への予備的な面接調査などが未了となった。
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Strategy for Future Research Activity |
・介護保険制度ができて10年が経過し,目標として,在宅でのケアや医療・保健・福祉各領域の連携がより明確に掲げられた。また地域福祉として住民が地域福祉計画の策定や福祉活動の担い手となることが期待されている。しかし,これら介護保険制度や地域福祉の利用者と期待される高齢者とその家族には,日常生活の支援を子どもたちに期待する人も少なくない。また介護保険制度導入以降,生活や介護の相談がしにくくなったという調査結果も出ている。利用者である高齢者とその家族の意識を明らかにし,専門職や地域福祉の担い手とのネットワーク形成と相互コミュニケーションの課題,およびその充実の条件を探ることを,私たちの研究の目的としている。具体的な調査地域での実証が大切なので,今後は,初年度の成果を基礎に現地での本格的な調査を本年度中に実施したい。・研究分担は初年度と同様,以下のように行う。妥当な研究補助者を得て行う予定である。高田洋子:研究代表者。高齢者の生活と生活保障に関する政策・制度・実態の分析。福井県内の調査を統括する。高田滋 :連携研究者。地域社会分析と地方自治体の行財政分析。市民活動の分析。大都市圏住宅都市の調査を統括する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に残した研究費と第2年度に請求した研究費によって,24年度は以下のように研究を進める。・主題に沿った国内外の文献を購入し整理検討する。主として,在宅ケアに関わる医療保健福祉システム構築の問題領域と医療システムの課題群,地域福祉また社会関係分析の手法に関わる文献となる。・福井県内の自治体(大野市あるいは池田町を予定),および大都市圏内住宅都市(所沢市を予定)の住民対象の現地調査を行う。概況調査を整理した上でいずれかの市町を選択する。それぞれにおいて,行政機関,社会福祉団体・施設,関係医療機関への訪問面接調査,資料収集と検討,住民への面接調査,住民への配票調査と検討を行う。2地域の調査は2人で3回程度行うが,研究代表者は福井県内調査を統括し福井市から随時調査に出向き,連携研究者は大都市圏内住宅都市の調査を統括し随時実施する。面接調査及び配票調査に関して,面接及び配票対象者へのお礼,および調査設定に関して地元の方に協力をいただくのでお礼を考える。調査とくに配票調査の集計分析においては調査集計ソフトを活用する。・調査では学術調査としての調査趣旨を十分説明し,調査資料の保管・公開について対象者の人権への配慮に注意する。研究補助者にも教育を十分に行う。
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