2011 Fiscal Year Research-status Report
高齢者施設の配置計画からみた地域密着性向上のための要件
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23500878
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
毛利 志保 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60424941)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地域密着型特別養護老人ホーム / コストマネジメント / 運営 / 立地特性 / 平面分析 / ユニットケア / イニシャルコスト / ランニングコスト |
Research Abstract |
具体的内容 今年度は、地域密着型特養の地域密着性を計る指標としての施設計画のモデル化のための空間特性の分析((1))と、モデル実現に向けて経営を成立させるためのコストマネジメント((2))について、平面分析(74施設)および全国アンケート調査(59施設)より明らかにした。(1)については、広域型特養との比較分析により進めた。その結果、地域密着型特養では、ユニット数(奇数であること、小規模であること)に起因してより多く必要になる人件費を補うため、入居者の居場所が削られる傾向にあること、他サービスを併設することで規模が大きくなり地域密着の利点が失われる傾向が明らかとなった。(2)については、建設費や土地取得費用などのイニシャルコストが人件費等のランニングコストに与える影響を把握した。イニシャルコストが抑制できている、つまり土地単価が抑えられている事業所ほど経営に無理がないことが明らかとなった。しかし、立地の選定に当たっては、法人が母体施設との連携強化のために地域密着型特養も郊外に建設するという状況から、地域密着型特養の立地を捉え直す必要性が見られた。意義・重要性等 以上より、地域密着型特養の地域密着性を評価するための指標は2つの側面があり、施設の立地のみならず、周辺環境の状況についての現状把握が求められることがわかった。また、地域密着型特養を中心市街地に立地させることが困難な理由についても把握できた。過度なイニシャルコストはランニングコスト(人件費)を圧迫し、その結果、効率化を図るために施設が複合化されて大規模化するという傾向、また母体施設と連携するために郊外にある施設と連動する形でに地域密着型も郊外に立地するという傾向が見られた。したがって、地域密着性追及のためには、建設費および土地取得費用を抑制するための方策が求められるという図式が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の計画のうち達成しているものについては、以下の通りである。1)アンケート調査項目の検討(立地・敷地計画のコストへの影響要因)、2)地域密着型特養・広域型特養における配置計画に関する情報収集、3)配置計画情報のデータベース化。また、平成24年度の計画のうち、2)建築計画に関するデータベース化および分析については、対象施設をまとめ同時に調査を進めたため、達成している。一方、平成23年度の計画のうち、3)配置計画情報の分析と4)成果発表については、十分達成できていない。3)においては集計に留まっており分析に至っていないこと、4)については、口頭発表等はしたものの、査読論文への投稿が終了していないためである。以上から、平成24年度の内容を先取りした内容と平成23年度の未達成状況のバランスを考慮してこのような自己評価を行いました。
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Strategy for Future Research Activity |
内容については、当初の平成24年度の計画にのっとり、建築計画のコストに関する情報収集を施設視察とともにヒアリングを通して行う。それらの分析を通し、配置と建築コストのバランスを考慮したモデルの提示を行う。また、施設視察の際には、平成25年度のケーススタディ対象施設を意識して選定を行い、兼用できる場合は行うこととする。 一方で、平成23年度まとめた内容についても早急に論文投稿や国際会議での成果発表を行い、学会等での評価を受けることとする。体制については、基本的に研究代表者が遂行し、必要に応じて事業者やファシリティマネジメントに詳しい学識経験者との連携をとっていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に行う研究内容に対応した研究費の使用計画については以下の通りである。建築計画コストに関する情報収集については、視察のための旅費、打合せ会議費、記録のためのカメラなどを検討している。また、配置計画情報の分析を行うために、GPSおよびCADのソフトを導入することを検討している。更に、成果発表として、学会への論文投稿料と学会参加旅費、特に国際会議への旅費について充てる予定である。
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Research Products
(7 results)