2011 Fiscal Year Research-status Report
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23500882
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
ガンガ 伸子 長崎大学, 教育学部, 教授 (40197736)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 食料消費 / 家族 / 妻の就業 / 重み付き回帰分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、この数十年の間に起こった家族変動が、どのように食生活に影響を及ぼしたかについて社会経済学的にアプローチすることである。今年度は、はじめに、食生活に関する経済データと家族変動に関するデータの収集と資料分析を行った。総務省統計局「国勢調査」のデータから、近年、夫婦のみ世帯と単独世帯が大きく増加しており、また、就業状況からみると、高齢化に伴い夫婦とも非就業世帯が増加し、夫が就業者に占める共働き世帯の割合が高まっていた。総務省統計局「平成21年全国消費実態調査」の二人以上の世帯のうち勤労者世帯(平均、核家族世帯、夫婦のみ世帯)を対象に、世帯主の年齢階級別、妻が働いているかどうかで、食料消費に違いがあるかを比較した。なかでも、外食の支出金額および対食料構成比がともに、妻が働いていない場合よりも働いている場合が大きく、世帯主の年齢が若いほどに、その差が拡大するが示された。また、世帯類型別には、夫婦のみ世帯において、妻が働いているか否による違いが最も著しいことが明らかになった。 さらに、総務省統計局「全国消費実態調査」(平成11年、16年、21年)のデータをプールし、世帯類型別に、家族属性要因(世帯主の年齢、妻の就業の有無など)を説明要因に取り入れ、食料消費行動に及ぼす影響について、世帯数分布をウェイトとした重み付き回帰分析を行った。その結果、配偶者が働いている場合は、食料支出を引き上げ、所得弾力性を低下させる効果があった。世帯主の年齢効果も認められた。食料の内訳項目では、調理食品と酒類において、配偶者が働いている場合には、支出金額を増やす効果が著しいことが示された。また、多くの内訳項目において、世帯主の年齢階級による差異がみられた。また、世帯類型によって、妻の就業の有無の影響の仕方に違いがみられ、夫婦のみ世帯において、最もその影響が顕著であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画であった食生活に関する経済データと家族変動に関するデータの収集と資料分析はほぼ予定どおり達成できた。また、収集したデータを用いた要因分析も行い、世帯類型(平均、核家族世帯、夫婦のみ世帯)、世帯主の年齢階級、妻が働いている場合と働いていない場合などにより食料消費行動に違いが生じることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の資料分析に新しく公表されるデータの追加と、それらの考察を引き続き行うともに、家族規模などの消費単位の変化が、消費行動に与える効果について、消費者行動における双対理論などの経済理論に基づき、家族と食生活の関係について理論展開していく。他の条件を一定として、家族規模の変化が生じたとき、消費行動がどのような方向に向かうかということを理論的に説明していく。また、家族変動により家事労働に変化が生じた場合、どのように機会費用が増減し食生活に影響するかも理論的説明を行う。 この家族変動と食生活に関する理論的説明と、前年度に行った資料分析による実態の整合性検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の研究成果は、平成24年5月13日に開催される(社)日本家政学会第64回大会で発表予定である。また、今年度中に、国内地方大会でも発表する予定である。そのための旅費と、資料整理のアルバイトの謝金に主に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)