2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500882
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
ガンガ 伸子 長崎大学, 教育学部, 教授 (40197736)
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Keywords | 食料消費 / 家族 / 簡便化 / 区間回帰分析 |
Research Abstract |
24年度は「食の簡便化」に注目して、食生活に関する経済データの資料分析を行った。食の簡便化には、中食や外食の支出増はもとより、内食と呼ばれるものの中にも、ほとんど家庭内で調理しなくても消費できる簡便化食品も含まれ、調理素材からそれらへの移行も含まれる。そこで、内食を素材・加工・簡便化食品に細分化し、中食・外食(食事代)とともに詳細な分析を行い、その結果、内食においても簡便化が進行している実態を明らかにした。 次に、最近の食生活変化に影響を及ぼしている家族変動の中でも、家族の小規模化の影響が大きいので、世帯規模と食料消費との理論的・実証的枠組について、先行研究を参考に整理を行った。 さらに、世帯主の年齢や世帯規模が食料消費の簡便化に及ぼす影響について実証分析を行った。通常の回帰分析と区間回帰分析を適用し、世帯主の年齢と世帯規模が食料消費の簡便化に及ぼす影響を検証した。はじめに、内食・中食・外食の支出金額を従属変数、所得、世帯人員数(世帯規模)、世帯主の年齢階級を独立変数とし、回帰分析を行った。この結果、世帯主の年齢効果が確認できたので、世帯主の年齢階級別に、区間回帰分析を適用した。分析に用いたデータは、総務省統計局「家計調査(平成20年)」のオーダーメード集計によるもので、世帯主の年齢階級別・年間収入階級別の年間の支出金額(二人以上の世帯)のクロスセクション・データである。 その結果、規模の経済性は、内食・中食ともに認められたが、特に穀類(素材)においてその効果が大きいことが判明した。また、世帯主の年齢の効果は、内食・中食においては、年齢が上がるにつれて支出金額が増加し、外食は逆に低下するという傾向が示された。区間回帰分析の結果、世帯主の年齢階級によって、内食・中食・外食の支出に対して、世帯規模と所得の区間係数の中心値に違いがみられ、幅が認められたものもあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の資料分析に新しく公表されるデータの追加と、それらの考察を行うことができた。「食の簡便化」に視点をあてて、家族変動をの関係において、詳細な資料分析もできた。 また、24年度の計画であった、家族規模などの消費単位の変化が、消費行動に与える効果について、消費者行動における双対理論などの経済理論に基づき、家族と食生活の関係について理論展開していくことも、先行研究を参考に、おおむね整理できたと思うが、さらに、理論的枠組に精通すべく必要性を感じている。 25年度に計画していた、食生活と家族変動に関する実証分析(区間回帰分析)にも着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
食生活と家族変動に関する実証分析のモデル設定を行う予定である。24年度着手し、有用性が確認できた区間回帰分析を、引き続き発展させていく予定である。これに加えて、世帯規模や世帯主の年齢等家族要因を取り入れた食料需要体系分析のモデル設定を行う。次に、解析に必要なデータ収集を行い、計算作業を経て、計算結果のまとめと考察を行う。 その他、新しく公表されるデータの追加した資料分析と、それらの考察を引き続き行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の研究成果は、25年5月18日に開催される(社)日本家政学会第65回大会(昭和女子大学)と、大7回ARAHEシンガポール大会で発表予定である。そのための旅費(国内旅費:東京、外国旅費:シンガポール)と、総務省統計局「家計調査」「全国消費実態調査」のオーダーメード集計による資料購入、資料整理のアルバイトの謝金に主に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)