2012 Fiscal Year Research-status Report
生活力育成を目指した領域別達成度ごとの消費者市民教育教材開発に関する研究
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23500888
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
岸本 妙子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (80249375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大本 久美子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30548748)
吉井 美奈子 樟蔭東短期大学, 生活学科, 講師 (60413481)
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Keywords | 消費者教育 / 消費購買行動 / 生活情報 / 環境対応 / 生活デザイン |
Research Abstract |
体系化された消費者市民教育を目指して大学生の衣生活および住生活分野の教育教材を開発するために、昨年の食生活分野にひき続き、衣生活および住生活分野において、消費者市民教育の4つの領域ごとに大学生の衣・住生活分野における消費行動に関してアンケート調査を行った。これまでの研究成果に基づいて、領域分けは「安全」、「契約・取引・家計」、「生活情報」、及び「環境・責任・倫理」の4つの領域を用いた。4つの領域毎に具体的な事例を挙げて、衣生活分野では「安全」領域で3問、「契約・取引・家計」領域で3問、「生活情報」領域で3問、及び「環境・責任・倫理」領域で4問の計13問、また、住生活分野では「安全」領域で3問、「契約・取引・家計」領域で3問、「生活情報」領域で2問、及び「環境・責任・倫理」領域で3問の計11問からなる調査票を作成し、さらにフェイス項目以外に回答者の生活実態と環境意識や生活経営に関する消費者意識を把握できるような設問を工夫した。6大学において計430票(有効回答数422票)を回収し、分析を行った。分析の結果、衣生活・住生活分野両方の「安全」及び「環境・責任・倫理」領域において性別で有意差が認められた。また、衣生活分野では「環境・責任・倫理」領域において、住生活分野では「安全」及び「契約・取引・家計」領域において家族状況別で有意差が認められた。今回対象とした衣・住生活分野での教材開発について、これまでに行った食生活分野での教材開発と併せて、学校教育で体系的に生活力を育成する方法について考察を行った。これまでの研究結果から、4つの領域で回答者の実態を捉えて、消費者として必要な知識や考え方を体系的にかつ理解しやすいようにした教材作りが必要であることが明らかにされ、また、担当する教員の関心や消費者教育に関わる知識に左右されない教材であることが求められることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
衣生活・住生活分野について達成度調査のための質問調査票による回収結果を集計し、体系化された消費者教育教材作成に向けての検討を行った。調査するライフステージは、成人期に当たる大学生とした。衣生活・住生活分野において、4つの領域ごとに具体性のある項目に絞って衣生活・住生活分野での達成度が測れるように設定を工夫した。並行して、大学生での調査結果に基づいて、体系立てた消費者教育教材のための課題と条件を探り、衣生活分野では「洋服買い物すごろくゲーム」を作成し、4年制大学生・短大生を対象として2大学で試用したうえで改良し、改良版での事前・事後調査を検証中である。さらに、住生活分野では「住まい選びで大切にしたいこと―ダイヤモンドランキング―(仮称)」教材を作成し、改良中である。大学生になって一人暮らしをする際の住まい選びで大切にしたい価値を9項目から選んで各自がランキングするなかで、「安全」、「契約・取引・家計」、「生活情報」、及び「環境・責任・倫理」の4つの領域ごとに考えさせ、次にライフステージカードを引かせることで、大切にしたい価値がライフステージによって異なってくることを気付かせる工夫をした。 幼児教育や小学校・中学校・高等学校等でまちまちな消費者教育を受けてきた場合でも、体系立てた消費者教育教材によって、高等学校・短期大学・4年制大学に在籍する間に領域別達成度ごとに消費者教育を実施することで生活力が育成されることを目標とした教育教材の開発を目指し、学習者が事前に習得している知識や生活体験の違いを考慮して教材を作成し、食生活分野及び衣生活分野について完成させて、次は住生活分野での教育教材を完成させることで体系化させることとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した衣生活教育教材を大学で実践した際の事前・事後調査結果を検証し、並行して、目下作成中の住生活教育教材について試用を経て改良を重ねたうえで完成を目指す。生活力育成を目指した教育教材開発に、「安全」、「契約・取引・家計」、「生活情報」、及び「環境・責任・倫理」の4つの領域ごとに生徒・学生のレベルを見極めたうえで、それぞれの特性に沿ってレベルに合わせて使用できる教材を開発する方向性は堅持しながら、食生活・衣生活・住生活分野に家族関係・生活福祉・生活経営分野に繋がる要素を組み込むことで、消費者教育の体系化を図ることとする。 これまでの調査結果から、4つの領域ごとに回答者の実態を捉えて消費者として必要な知識や考え方を体系的にかつ理解しやすいようにした教材作りが必要であることが明らかになっており、また、担当する教員の関心や消費者教育に関わる知識に左右されない教材とすることが求められていることから、最終年度である次年度は、食生活・衣生活・住生活分野の教育教材を組み合わせて実践することによる消費者教育の体系化に向けての作業を行う。開発した教育教材とその資料の改良にさらに検討を重ね、現場の教員にとって利用しやすいように開発した教育教材及び資料を印刷して配布できるようにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各自が分担して進めている教材の改良を並行して行いながら、衣生活・住生活分野の開発教育教材の効果を検証するために、研究会を兵庫県西宮市で2回(予定)、大阪市で1回(予定)、青森県弘前市で2回(予定)、及び名古屋市で1回(予定)開催する。開発教材を試用した際の事前・事後調査の分析に当たり、データ入力のためのアルバイト代が必要となる。 これまでの食生活分野での成果の一部を日本家政学会第65回大会で研究発表し、衣生活分野での教育教材に関する検討結果を日本消費者教育学会の関西支部発表会及び全国大会において研究発表する。住生活分野での教育教材については、日本家庭科教育学会で研究発表する予定である。
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Research Products
(9 results)