2011 Fiscal Year Research-status Report
乳児期から就学期の絵本を介した親子の相互作用に関する縦断的検討
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23500890
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
藪中 征代 聖徳大学, 教職研究科, 准教授 (50369401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 佐治子 摂南大学, 教職課程, 准教授 (20331382)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 絵本 / 読み聞かせ / 相互作用 / 就学期 / 子育て |
Research Abstract |
本研究は、平成17年度から開始した「絵本を介した親子の相互作用に関する縦断的研究」を踏襲し、乳児期から就学期にかけての親子間の絵本を介した絵本の読み聞かせを分析することで、子どもの読書態度およびコミュニケーションスタイルの習得と親子の間で行われる情報交換との関係を明らかにすることを目的としている。 平成23年度は、満5歳児をもつ家庭15組を対象に絵本の読み聞かせ場面における親子の相互作用の発達的変化、および協力家庭と同年齢の子どもをもつ家庭を対象とした質問紙調査を行った。これらについて、絵本を介した親子の関わりの観点から検討し、成果をまとめた。1.研究経過 (1)指定された絵本の読み聞かせ:毎月1回開催される「絵本と子育ての会」で親子に、個室で研究者が指定した絵本を読み聞かせてもらい、その様子をビデオ録画した(計12回実施)。(2)家庭における絵本の読み聞かせ:各家庭における自由な絵本の読み聞かせの様子、絵本とのかかわりについて、毎日、親に絵本ダイアリーに記入してもらった(計1年分)。(3)「絵本と子育て」に関する質問紙調査:5歳児をもつ家庭を対象として、絵本と子育てに関する質問紙調査を3月実施(幼稚園・保育所20カ所)。2.主要結果:指定された絵本の読み聞かせ:就学期になり、子どもが読み手となっている組がみられる。その場合、拾い読みであるために、所要時間が長くなっている。また、物語絵本の場合、親子の言語的やりとりは、全体的に減少の傾向にある。非言語的なやりとりは、親子のペアーによって差が著しい。親子ペアーにより、読み聞かせにスタイルが確立しつつある(親子で絵本を楽しもうとしている組、親自身が絵本を楽しんでいる組、絵本の内容理解を確認する組)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
親子の絵本を介したやりとりについて、(1)親子での絵本の読み聞かせ場面調査:月1回「絵本と子育ての会」を実施し、親子での絵本の読み聞かせ場面を録画した。現在、言語的・非言語的行動を書き起こしている。今後、そのデータを横断的・縦断的に検討する予定である。(2)家庭における絵本の読み聞かせ調査:絵本ダイアリーの記入について、1か月ごとに分析中である。(3)「絵本と子育て」に関する質問紙調査:当初1月に実施予定であったが、幼稚園、保育所でインフルエンザが流行し、2月下旬に対象園に発送することとなった。そのため、現在質問紙回収中であり、回収後データ入力、分析をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
毎月1回の親子の絵本の読み聞かせの実施、家庭での読み聞かせに関するダイアリー記入は今年度同様継続実施する。指定した絵本の読み聞かせに使用する絵本、家庭での読み聞かせに使用する絵本の選択を絵本に精通した協力者とさらに検討していく。 平成24年度は対象児が小学校に入学するので、学校生活や学習態度、親の子どもに対する期待や態度についての聞き取り調査を追加する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する研究費が生じた理由は以下のとおりである。「絵本と子育て」に関する質問紙調査を当初は1月に実施予定であったが、対象園においてインフルエンザが流行し、2月下旬に実施することとなった。そのため、平成23年度中にすべての園からの質問紙の回収が困難であり、データ入力、整理等の費用を次年度に計上した。 平成24年度の研究費使用計画は以下のとおりである。(1)平成23年度からの継続であり、毎月センターで開催している「絵本と子育ての会」の際に、各親子に研究者が指定した絵本の読み聞かせを行ってもらい、それをビデオ撮影する。そのための絵本、ビデオ撮影用のテープ等が必要である。また、撮影ビデオを文字に書き起こす作業等に研究補助者の協力を得る。(2)家庭における絵本の読み聞かせの様子等を絵本ダイアリーに記述してもらう。「絵本と子育ての会」を運営していくためのスタッフとの打ち合わせ等の費用、家庭での読み聞かせに使用する貸与絵本(毎月2冊)の費用が計上されている。(3)「絵本と子育て」に関する質問紙調査:平成23年度と同様に対象者と同年齢の小学1年生の子どもをもつ家庭を対象とする質問紙調査を12月に実施する予定である。そのための質問紙の印刷・発送・データ入力の費用を見込んでいる。平成24年度は、学校生活や学習態度、親の子どもに対する期待や態度についての聞き取り調査を追加する。(4)平成23年度調査データの一部を教育心理学会において発表予定である。そのための学会旅費を計上している。
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