2014 Fiscal Year Annual Research Report
都市度別に見たリタイア期夫婦の夫婦役割関係とパーソナル・ネットワークに関する研究
Project/Area Number |
23500895
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
立山 徳子 関東学院大学, 人間環境学部, 教授 (00327248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松信 ひろみ 駒澤大学, 文学部, 教授 (00331538)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | パーソナル・ネットワーク / 都市度 / 夫婦の勢力関係 / リタイア期夫婦 / 性別役割分業 / 夫婦の共同性 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市度別の検討による夫婦間の共同性とパーソナルネットワークとの関係については、①都市度による調査対象者の属性や社会経済的地位には違いがみられる。②パーソナル・ネットワーク変数に対して関連をもつ属性変数が複数見られること。③夫と妻のパーソナル・ネットワークの間には強い正の相関関係があること。 さらに④夫婦間でのネットワーク共有は、都市度は全く説明力をもたず、むしろネットワークの量と、近距離ネットワークの存在により促進される。また⑤夫婦間依存度と世帯外ネットワークの依存度との間には明確な関連は見いだされず、この結果から競合説・両立説いずれも明確な傾向は確認できなかった。 最後に15組のインタビュー調査からの質的分析結果からは、⑥退職前の従業上地位が夫婦間の協力関係や退職後のネットワーク形成に重要な説明力を持つこと、さらには⑦特に夫の退職後ネットワーク形成の難しさが見られる一方、⑧家族危機の経験が夫婦間の絆を強化すること等が明らかになった。 夫婦間の勢力関係とパーソナル・ネットワークとの関係については、1)従来夫婦の勢力関係を規定する重要な変数とされた夫婦が保有する「社会経済的資源」よりも、夫婦が保有する「夫婦以外のネットワーク」という変数が非常に重要であることを実証した。2)夫婦の勢力関係に関しては、妻の勢力の強さは妻の保有する「社会経済的資源」と「夫以外のネットワークの存在」が影響していることが確認され、また夫の家参加の程度は、ネットワークの効果は明確に確認できなかったものの、夫の妻に対する依存度が高いほど、夫の家事参加の程度が促進されることが確認された。3)夫が現役時代、妻が専業主婦、夫がサラリーマンという性別役割分業に基づいた役割関係であった夫婦ほど、夫の退職後のネットワーク、人付き合いが夫婦間で分離している傾向が確認されたことがインタビュー・データから明らかになった。
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Remarks |
本研究データにもとづいた分析結果は、ひきつづき学術雑誌への投稿を予定中である。
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Research Products
(5 results)