2014 Fiscal Year Annual Research Report
教育期から労働期への移行段階における若年女性の自立と家族資本-日米比較調査-
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23500898
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Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
Principal Investigator |
竹田 美知 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (00144634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正保 正惠 福山市立大学, 教育学部, 教授 (00249583)
山下 美紀 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (40289187)
大石 美佳 鎌倉女子大学, 家政学部, 准教授 (80298249)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 家族資源 / 経済的資源 / 精神的資源 / キャリアデザイン / 生きづらさ / ライフコース / 奨学金返済不安 / 女子大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はこれまでの研究成果をまとめ発表し一部研究紀要に掲載するとともに「大学生の生活環境と将来設計」というタイトルで調査報告書を作成した。報告書は、大学生の生活環境に置ける様々な資源を把握し、その資源が大学生の将来設計や大学時代の自立にどのようにかかわるかを、主として大学生を中心として調査をした結果をまとめた。本研究の研究枠組みは、家族資本を取り巻く資本として個人資本、社会資本があるという前提で調査枠組みを設定し、個人レベル、家族レベル、社会レベルで経済的資源、人的資源、社会関係資源の操作変数を設定した。さらに、調査の結果を第1に女子大生の家族資本とキャリアデザイン、第2に女子大学生の家族資本と「生きづらさ」、第3に女子大学生の家族資本と将来設計、第4に大学生の家族資本と大学生の奨学金返済不安の4津の視点からまとめた。 第1の視点から得られた結果は、女子大学生の家族資本からの自立度は低く、約8割が経済的に自立していない、また約6割が精神的に自立していないと自己評価していた。家族資本のタイプ(充足型・経済資本型・情緒資本型・不足型)と経済的・精神的自立度の相関はみられなかった。第2の視点から得られた結果は、「生きづらさ」、「意欲の衰退」、「不安定な精神状態」には家族資源の有無が関わっているが、「自尊感情」には家族資源の有無よりむしろ個人の自立意識が関連していた。 第3の視点からは家族資本は女子大生のライフコースの選択に影響するという結果が得られた。特に精神的資源である家族関係資源の影響は大きい。第4の視点からは、家族の経済的資源の欠如は奨学金の返済不安に大きな影響を与えているが同時に家族の精神的資源も大きく奨学金の返済不安に関連していた。 以上の結果から家族資源は、大学生の将来設計や自立意識に多面的に大きな影響を与えていることが確認された。
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