2012 Fiscal Year Research-status Report
家族形態・居住形態の変容にともなう歴史的居住地の持続性に関する研究
Project/Area Number |
23500907
|
Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
牧野 唯 名古屋女子大学, 家政学部, 講師 (20321325)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 範子 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (30031719)
|
Keywords | 居住地の持続性 / 住宅の改修 / 町家再生 / 家族形態 / 居住形態 / 借家居住 / 空き家対策 / 建て替え |
Research Abstract |
本研究は、歴史・自然環境と伝統的な町並みの中にある生活空間を次世代に継承していくため、住様式視点から歴史的居住地の持続性を検討し、居住地として存続するための住宅・住環境計画の新たな課題を明らかにするものである。本研究の調査対象とした奈良町北地区は、2000年に実施した調査(奈良女子大学今井範子研究室実施)と同様の、比較的古い町家の残る6地区(押上町・今小路町・手貝町・東包永町・東笹鉾町・半田町(南半田西町・南半田中町・南半田東町・北半田西町・北半田中町・北半田東町))である。 研究計画に基づき、本年度は住宅・住環境の更新状況と住宅の所有関係別にみた問題点を明らかにするとともに、先進事例調査を実施した。 1)論文執筆、学会等における資料収集:前年度に引き続き、2011年に行った奈良町北地区の居住者を対象とした質問紙調査の結果を分析し、特に2000年の調査対象との経年比較を行い、奈良町北地区における住宅所有形態別にみた改修の課題に関する論文執筆を進めた。 2)町家再生事例の調査、空き家利活用による環境整備に関する聴き取り調査の実施:町家再生賃貸住宅制度の活用事例の追跡調査、実務者・事業主への聴き取り調査、既存住宅流通活性化事業の実績調査、物件資料等を収集し、空き家利活用による環境整備の動向を分析した。 3)学会発表:2011年度に実施した研究成果を、社)日本家政学会大会(大阪市立大学)および国際家政学会大会(メルボルン国際会議場)において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、歴史的居住地の持続的発展において重要であると考える住宅改修と居住者の意向を明らかにするため、奈良女子大学今井研究室において2000年に調査対象とした奈良町北6地区の住宅および調査対象居住者と2011年調査時の住宅および調査対象居住者の経年変化を整理し、分析を行った。その結果、2000年調査時点を元にした奈良町北地区の家族形態・居住形態の動向として、2011年調査では調査対象地区の居住者・住宅上の変化を明らかにした。 特に、老朽化の進行する町家再生および住環境整備の実現に向けた課題を検証するため、次に記す研究計画に基づき、先進的な取り組み事例の調査を実施した。1)住宅改修に親子の居住形態と居住者の人的ネットワークの変容が与える影響、2)通り庭や中庭のある伝統的間取りの改修による変容と再評価、3)新たな世代交代としての非家族・非親族同居の可能性を検証。
|
Strategy for Future Research Activity |
調査結果を分析し、研究発表を進める中で、さらに検討しなければならない次の課題について分析を深める。 i)住宅改修と親子の居住形態・居住者の人的ネットワークとの関係性、ii)新たな世代交代としての非家族・非親族同居 若年層において広まる非家族・非親族同居(シェア居住等)、iii)中古住宅としての長屋の再生可能性、iv)街区を構成する町家型住宅の空間特性の持続的更新を目ざした住環境整備の検討 空き家に関する所有者への聴き取り調査、長屋の改修が地区を更新する際の契機となる先進事例を収集し、住宅等の改修に結びつけるプロセス、課題を分析し、「町家等再生・活用ガイドライン」「地域貢献型多世代賃貸住宅」さらに「登録有形文化財制度」等の施策や制度の運用、実績を検証する。さらに、住宅ストックの品質向上と確保、町家再生賃貸住宅の流通促進およびリフォーム市場整備のための課題と可能性を検討し、目的に沿って研究計画を推進する。 研究分担者・今井範子(奈良女子大学・名誉教授)は、研究方法の妥当性の検討、研究計画の推進・実施、成果のとりまとめを分担する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、本研究計画に基づき、新たな世代交代としての非家族・非親族同居や居住形態の可能性を検討する。 分析には、パーソナルコンピュータを使用し、迅速な解析や論文執筆のためのソフトの導入を行う。また、本研究に関連する資料の収集、学会等の登録、論文掲載、先進事業の聴き取り調査、調査謝礼、学会・研究会等の出張に必要な経費を使用する。 なお、聴き取り調査は調査協力者の同意を得て実施する。 4~6月:学会等での資料収集・整理 調査データの分析、論文執筆。5月:日本家政学会(昭和女子大学)発表。7~9月:地域貢献型多世代賃貸住宅事例の調査、実務者・事業主への聴き取り調査。既存住宅流通活性化事業の実績調査、物件資料の収集・整理と分析・考察。10~3 月:論文執筆、学会・研究会での資料収集と成果の発表。
|
Research Products
(2 results)