2013 Fiscal Year Annual Research Report
環境に優しい新規ケラチナーゼ酵素を用いた羊毛の防縮加工法の開発と消費性能評価
Project/Area Number |
23500916
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
長嶋 直子 和洋女子大学, 生活科学系, 助教 (30459599)
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Keywords | 酵素 / 防縮加工 / ウォッシャブルウール / 羊毛 / ハロゲンフリープロセス / 天然由来樹脂 / フエルト収縮 |
Research Abstract |
環境調和型防縮加工法によるウォッシャブルウールの開発を目指し、最終年度はセラック前処理(溶媒:メタノール)後のケラチナーゼ酵素処理効果をさらに向上させる目的で、セラック/メタノールで処理後、酸化剤のモノ過硫酸水素カリウム(PMS)を用いて処理を行った。その結果、PMSの酸化処理によって防縮性は得られるが、処理無しの場合と比較して処理効果に顕著な影響を及ぼさず、また強度は若干低下すると同時に風合いは固くなるという結果が得られ、セラック処理後にPMS処理をするメリットは見られなかった。 メタノールを溶媒として使用することは環境およびコスト面から実用的ではない。セラックは水には溶解しないが、アンモニア水に溶解することを確かめた。そこで溶媒として1%アンモニア水を用いてセラック処理を行った。 処理羊毛のSEM観察の結果、アンモニア水単独処理、セラック(アンモニア水)処理においても羊毛表面の顕著な変化は観察されなかった。さらにセラック(アンモニア水)処理の防縮性および強度変化を調べた結果、セラック(アンモニア水)処理によって良好な防縮性が得られた。また強度も未処理に比べて同等かそれ以上になることが分かった。一方、セラック(アンモニア水)処理後に酵素処理を行うと、防縮性試験の際に白濁が検出された。この原因は現在のところ明らかではない。しかしながら、セラック(アンモニア水)処理単独でも、良好な防縮性と強度が得られたことは、酵素処理無しでも防縮加工が可能なことを示唆しており、今後展開の可能性がある。 以上のように本研究においては、セラック前処理によってCMCを充填することによって、防縮性が発現し強度低下も見られないという結果が得られた。またセラック/酵素処理によっても酵素がCMCを拡散して内部コルテックス層の分解をすることは抑制され、防縮性と強度に対して良好な効果を及ぼすことが確認された。
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