2012 Fiscal Year Research-status Report
ハイリスクな子ども・家庭への早期対応と生活支援に向けた地域インフラ整備の検討
Project/Area Number |
23500919
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
大谷 由紀子 摂南大学, 理工学部, 准教授 (00411116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 千鶴乃 鳥取大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60550944)
藤井 伸生 京都華頂大学, その他部局等, 教授 (50228954)
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Keywords | 「国際情報交換」カナダ |
Research Abstract |
本研究は、ネグレクトや虐待などの問題が一段と深刻化しないよう、親子を在宅で支援する地域支援のあり方を検討することが目的である。2005年に我が国の地域支援を担う要保護児童対策地域協議会が全国の自治体に設置されたが、実効性ある支援には至らっておらず制度運用は模索されている。よって、今年度の国内調査は、要保護児童対策地域協議会の運営に焦点を当て、人口10万以上の全国の自治体にアンケート調査を実施した。調査内容は2011年度に精査した項目である。調査結果からは、自治体を幾つかの地区に分け、窓口機能をもつ拠点形成を図る自治体は少数に限られ、中心となる機関すら明確化されていないことが明らかになった。また、地区の実態に則した独自の支援策やプログラムを提供しているケースも少なく、実効性ある制度運用に向けて具体的議論の必要が浮かび上がった。 また、かねてより地域支援モデルとして注目しているカナダ・オンタリオ州にて、2011年度に引き続き、拠点形成に関する調査を実施した(トロント市)。事前調査においてオンタリオ州では在宅支援が95%以上を占めていること、子どもの保護を行使できる唯一機関であるCASでは、子育て支援とは異なるレベルで地域支援に取り組んでいることを把握した。現地の聞き取り調査ではCASを訪問視察し、トロント市の重層的な地域支援の仕組みの把握に努めた。また、トロント大学、ライアソン大学の研究者と地域支援に関する情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度に計画していた調査は予定とおり遂行した。 国内調査については、要保護児童対策地域連絡協議会の運営に関する全国調査を行い、制度運用の傾向と課題を明らかにした。今年度は、アンケートの回答から制度運用の傾向分析、および、先進的自治体の抽出を目的としており、当初の計画とおり遂行できた。先進的自治体の詳細な分析は次年度の課題とする。。 海外調査では、2011年度とは異なる視点でカナダ・オンタリオ州での地域支援に関する聞き取り調査を実施した。当該調査では、トロント市の地域支援が様々な地域資源を柔軟に統合する形で拠点形成を図り、コミュニティのなかで継続的支援の実現を重視していることが把握できた。なかでも、コミュニティレベルで重層的なセーフティネットを構築するための地域資源の柔軟な活用は示唆に富む。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、これまでと同様に国内調査と海外調査の2つを進める。国内調査は、要保護児童対策地域協議会に関するアンケート調査結果から、同封の冊子を中心とした詳細な分析を行う。特に先進的自治体をモデルケースとし、ハード・ソフトの両方から特徴を整理する。 海外調査はカナダと異なる地域支援モデルとして、北欧型モデルを取り上げる。カナダでは公民各レベルにおける豊かな地域資源を柔軟に活用することにより、重層的なセーフティネットの構築を目指していた。しかし、地域資源がカナダほど豊富ではない我が国の地域支援を鑑み、2013年度は公的サービスを中心としたデンマークの地域支援の概要を掴みたい。現在、聞き取り調査の対象をほぼ絞り込み、今後は現地コーディネータ―と連携して最新情報を入手し質問項目を詰めていく。 以上の調査を遂行しつつ、最終年の2013年度は国内調査と海外調査から得られた知見をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は、①国内調査として2012年度実施の自治体アンケート結果の分析と、先進的自治体への聞き取り調査、②海外調査としてデンマークでの現地訪問聞き取り調査(一週間)を行う。よって、研究費は前年度とほぼ同様の使用を予定している。 「消耗品」聞き取り調査に必要な物品、「国内旅費」研究会出席、学会発表、自治体聞き取り調査、「外国旅費」デンマーク調査の旅費、「その他」業務委託費、アンケート結果輸送代
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