2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500921
|
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
伊佐治 せつ子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (40160246)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 由美子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助教 (90581926)
奥野 温子 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 教授 (60085248)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 発熱特性 |
Research Abstract |
本研究は、絶縁体である高分子材料にニッケルコーティングした炭素繊維(NiCF)を混合した導電性の複合材料を作成し、保温性衣料素材へ応用しようとするものである。現在、保温性衣料にはいろいろなものが用いられているが、寒冷地で瞬時に使用できる、局所的でフレッキシブルな、かつ、携帯可能なものへの対応が行われていない。本研究では電池使用で熱応答性の速い、携帯用の保温性衣料素材を開発し、寒冷地での携帯衣料や介護用衣料、局所環境用衣料(冷凍倉庫)などに利用できるものを目指している。既に、高分子媒体にNiCFをブレンドした複合体の作成に成功し、その導電性の検討を行ってきた。ここでは、この複合体を発熱体とする実用衣料に向けた検討を行うために、すでに作成しているNiCFを混合したUHMWPEとEMMAの高分子複合体の導電特性及び発熱特性を実用性の面から検討を行う。そのために、実用仕様の発熱体として安全性の面から熱伝導率の低いPETやEVAでラミネートした試料によって発熱特性を測定する。そこで、平成23年度には、実用仕様の大きさの試料で導電性及び発熱特性が測定できる装置を試作した。特に試作する測定装置は発熱体に対する環境温度と風速の影響を考慮し、従来はできなかった周囲環境温度の調整と風速調整が可能な装置を試作した。この装置を使用することによって発熱体の実用に即した導電特性及び発熱特性を詳細に検討する。なお、この測定装置は業者(アイエス技研)の協力のもとに調整を繰り返し試作した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発熱体の発熱特性を評価する場合に最も影響が大きいと考えられる環境温度と風速の影響を検討できる装置はこれまで存在せず、全く独自に試作した装置を完成することができた。今後、この装置を使用して詳細な基礎的測定を実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は下記の2点についての検討を行う1)寒冷地用衣料素材への利用として、発熱体の発熱特性について寒冷環境及び風速変動による影響を検討する。冬季環境温度における実用仕様の発熱体として、一定電圧での電気抵抗値、可変電圧による電流及び、表面温度の測定を行う。同時に発熱体の表面温度を非接触型のサーモグラフィを用いて測定し、発熱体表面の温度ムラの知見を得る。これら測定した発熱特性から衣料に最適な保温性の条件を見いだす。2)実用衣料への適用を考えて、衣料用素材に対する物性特性値を測定し、衣料との適合性を検討する。物性特性値としては、曲げ硬さ、圧迫に対する強度、引張り強度、屈曲への耐用性など着心地に影響を与える特性をKESシステムなど既存の測定機器を用いて評価する。H23年度に未使用金(78万7千円)が発生しているのは、自作測定装置の開発段階では使用可能予算額が当初予算の7割だったので、装置として基本的なもののみを購入し、また設定する機器の汎用性も低下させるなどの対策をとったためである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
NiCFを混合したUHMWPEとEMMAの高分子複合体である発熱体の実用性の面からの検討のために、発熱体の表面温度を非接触型のサーモグラフィを用いて測定し、発熱体表面の温度ムラの知見を得る。実用に供する発熱体については、温度ムラを検討することは重要なことである。さらに実用仕様の発熱体として安全性の面から熱伝導率の低いPETやEVAでラミネートした試料についての温度ムラの状態を把握する必要がある。このような温度ムラの検討には非接触型のサーモグラフィが最も有効であると考えている。H23年度未使用金(78万7千円)の使用については、既開発装置の部分的改良や、H24年度購入予定のサーモグラフィの精度の向上とデータ解析ソフトに使用する予定である。
|