2013 Fiscal Year Annual Research Report
未利用生物資源から吸水性・抗菌性・生分解性に優れた紙おむつ素材をつくる
Project/Area Number |
23500922
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
桑原 順子 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (40289351)
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Keywords | コラーゲン / ゼラチン / 抗菌活性 / プロタミン / ポリリジン / 架橋化 |
Research Abstract |
これまでの研究結果より、魚皮由来のコラーゲンとγ-PGAとの架橋化ゲルは、原料であるγ-PGAより高い吸水効果を示すことを確認した。さらに、架橋化ゲルの線維化は塩濃度とpHに影響を受けることを確認した。また、コラーゲンの架橋化ゲルについて詳細な変性温度変化を解析することにより、これまで1段階と考えられてきた変性過程は2段階で進行することを明らかにした。しかしながら、鰹皮、鰹骨、鰻頭等のような未利用資源から抽出したコラーゲンの収率は最大2%であり、収率の改良を図るため条件検討を重ねたが、高い収率方法を確立することができなかった。当初の目的であった、抗菌性および分解性に優れた高分子材料を速やかに構築するために、最終年度ではコラーゲンの代替としてより汎用性のあるゼラチンを使用し、抗菌性を有する試料との架橋化を行い、その特性について評価した。ゼラチンはコラーゲンと同様のアミノ酸組成であるが、温度によって可逆的なゾルゲル転移を示す。また、コラーゲンと比べてゼラチンの方が工業的に大量生産されており、ペット用の紙おむつ素材など工業製品への応用を考えると都合がよい。ゼラチンに抗菌性を付与するため、塩基性アミノ酸からなるタンパク質であるε-ポリリジン、プロタミンを選択し、ゼラチン鎖のC-末端、あるいは全組成の10%前後を占める酸性アミノ酸側鎖への重縮合を試みた。縮合剤は水溶性カルボジイミドを使用した。抗菌活性試験は、日本薬局方のチャレンジテストに基づき、黄色ブドウ球菌、カンジダ菌、枯草菌、緑膿菌、大腸菌を使用して評価した。その結果、架橋化ゼラチンの最小生育阻止濃度(MIC)はε-ポリリジン、プロタミン本来のMICと比較しておよそ2~8倍の範囲で増加し、抗菌活性は低下した。また、抗菌活性の強さは黄色ブドウ球菌に対してε-ポリリジンが、枯草菌に対してプロタミンが最も強く作用した。
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Research Products
(4 results)