2011 Fiscal Year Research-status Report
住民の主体的活動による在宅生活支援システム構築に関する研究
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23500924
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
村田 順子 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (90331735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (20197453)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 住環境 / 地域福祉 / 高齢期 / 在宅生活 / 生活支援 / まちづくり / 住民主体 / 互助的関係 |
Research Abstract |
本研究は、地域住民の主体的な活動により制度ではカバーしきれない虚弱期から要介護期に至る高齢者の在宅生活を住民活動がサポートし得るのか、その可能性について検討し、在宅生活を支える地域における生活支援システムの構築について考察することを目的としている。研究対象地域は、歴史的街道を有し、シニア期以降の住民が主体となり、地域を活性化しようとまちづくり活動を推進しているが、高齢化率が30%を超え、観光資源でもある伝統的町並み保存のためにも居住の継続が大きな課題となっている。本年度は、街道周辺の世帯(962世帯)に対して、まちづくり活動の評価、居住継続のために必要なこと、高齢期の介護ニーズなどについてアンケート調査を実施した。これは、当初2年目に実施する予定であったが、前倒しで実施した。回収率は74.7%(719票)で、回答者は主に世帯主で30~90代の幅広い年齢層から成る。結果の概要を以下に述べる。まちづくりへの関わり方如何に関わらず活動について多数が肯定的に評価しており、活動を通して地域を見直し、町並みを守る意識が高まっている。また、リタイア期以降は野菜づくりなど趣味を楽しみ、良好な近隣関係の中で生活している。大多数が老後も自宅に住み続けたいと考えているが、子世帯との非同居が多く、身近に商店も少なく高齢になるほど生活上の困難を抱えるようになる。また、介護が必要になった時には施設入所も仕方ないと考える人も若い世代ほど多い。日常的な家事等への不便感が住み替え要因にもなるが、地域住民からの支援受け入れの可能性を探ったところ、自宅内の家事には抵抗感が見られたが、買い物や外出付添、話し相手など自宅外での支援に可能性が見出された。若い世代ほどサービスの利用に抵抗感がなく、ボランティアの受け入れにも柔軟である。現在のまちづくり活動を、生活支援活動へとどのように展開していくかが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、次年度に予定していた地域住民の高齢期の生活支援要求に関するアンケート調査を今年度実施した。これは、調査協力を依頼しているNPO法人と研究内容についての意見交換の中で、まず地域住民の生活意識や支援要求を把握した方が今後の研究の展開には有効であるとの考えに至ったからである。実施年度が変更にはなったが、3年間の研究計画全体に大きな影響を与えるものではない。NPO法人の協力のもと自治会など地域住民の調査に対する理解が得られ、今年度の調査も当初の予定よりも幅広い住民層に対して実施することが可能となった。これにより、高齢期の住民だけではなく若い世代の住要求や生活意識も明らかとなり、また住民相互の助け合いによりどのような支援が可能なのかを見出すことが出来た。今後は、この結果をもとに、地域における生活支援のあり方を検討していく。本調査を前倒しで実施したことが、結果的には良い方向に働いていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度と次年度にそれぞれ予定していた調査を、年度を入れ替えて実施する予定である。実施時期に変更があるものの、研究計画に影響を与えるものではない。当初の計画にはなかったが、調査対象地域に開設計画のある「地域の居間」を調査対象に加える予定である。これは、既存の民家を活用して地域住民、特に高齢者の居場所づくりを目的としているが、子育て世代にも利用してもらうことにより世代間交流が促され、住民相互の支え合い活動にも役立つのではないかと考えており、本研究を進めていく上で重要な地域の取り組みであると認識している。実施状況を把握し、今後の運営について助言なども行っていく予定である。調査対象地域のNPO法人は、本研究に大きな関心を持ち、非常に協力的であるため、ヒアリング調査およびアンケート調査の対象者の選定に問題はなく、今後の研究も順調に進むと考えている。年度末には調査結果の報告を行い、次年度の調査について打ち合わせを行っており、「地域の居間」についても協力を約束している。研究分担者および連携研究者との連絡・打ち合わせも支障なく行えており、研究体制にも問題はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、国際会議への出席が決まったため、旅費が当初の計画よりも嵩むことになるが、次年度に計画していたアンケート調査を今年度前倒しで実施し、次年度はヒアリング調査とより限定的なアンケート調査になるため、データ入力・集計の支出はおさえられるため問題はないと考えている。新たに「地域の居間」の調査を実施するが、これは当該地域への旅費程度の支出で済むと考えており、研究費に大きな影響はない。また、今年度は調査対象地域の都合などで調査実施時期が年度後半にずれ込んでしまい、またアンケートの対象人数が予定よりも多くなり、データ入力・集計に係る支出が計画を超過したことなどから、かなり厳しい予算状況となってしまったが、次年度は計画通りに調査を実施し、予算執行に支障がないよう研究を進めていけるようNPO法人との連携強化に努めているところである。
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Research Products
(2 results)