2012 Fiscal Year Research-status Report
住民の主体的活動による在宅生活支援システム構築に関する研究
Project/Area Number |
23500924
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
村田 順子 和歌山大学, 教育学部, 教授 (90331735)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (20197453)
|
Keywords | 住環境 / 地域福祉 / 高齢期 / 在宅生活 / 生活支援 / まちづくり / 住民主体 / 互助的関係 |
Research Abstract |
昨年度の調査では高齢期の生活支援要求について明らかにしたが、その要求に対し地域住民が支援の提供者となり得るのかを明らかにすることが、住民の互助的活動に基づく生活支援システムの構築について考察する上では重要である。そこで今年度は、地域住民のまちづくり活動への参加が、地域の高齢者の在宅生活をサポートする助け合い活動に対する意識にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とし、まちづくり活動に関わっている地域住民に対して、住民同士の助け合い活動に対する意識に関するアンケート調査を実施した。今後、地域内で互助的な生活支援サービスを実施する際には、まちづくりなど既にボランティア活動に関わっている人たちが中心となり得ると考えたからである。この調査は、当初の研究計画にはなかったが、研究を進めて行く中で重要と判断したため実施した。有効回収数(率)は173票(69%)であった。 調査の結果、まちづくり活動に参加している人たちの多数が、活動を通して地域に対する理解や愛着を深め、地域の問題に関心を持ち、問題解決に取り組みたいと考えるようになることが分かった。 助け合い活動については、単身高齢者の見守り活動や安否確認、短時間のちょっとした作業、話し相手などの支援には、協力してもよいと回答する人が比較的多く見られた。また、協力できる支援内容には男女差が大きいことが分かった。 支援者登録制度が出来た場合、登録してもよいと考える人は4割強で、人の生活に立ち入る抵抗感から登録はしないと考える人が多くみられた。 今後は、支援を受ける立場の高齢者と支援者となり得る住民たちの交流を深め、人間関係を構築することが課題であることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、前倒しで実施したアンケート調査から、高齢期の生活支援にボランティアを受け入れることに一定の可能性が見いだせたことから、今年度は地域住民が生活支援の提供者となり得るのかについて考察するため、まちづくり活動に参加している住民に対してアンケート調査を行い、住民同志の助け合い活動に対する意識を明らかにした。 この調査は当初の予定にはなかったが、本研究を進めて行く上で必要度が高いと判断したものである。本調査により、住民の支援要求のみならず支援提供に対する考え方も明らかとなり、住民同士の助け合い活動の可能性について検討する際の有用な資料となった。 また、今年度より開所した地域の高齢者の居場所である「地域の居間」も研究対象に含め、活動に協力、参加している。この場所は、地域の虚弱期の高齢者の在宅生活継続に重要な役割を果たす可能性があると考えており、本研究を発展させていくためには欠かせない研究対象であると考えている。この場所が、地域住民の交流や関係性を深めていく日常的な場となるためには、どのような空間づくりが必要なのかを考えていきたい。 研究対象地域のNPO法人とは、良好な関係を築いており、NPO法人の方から相談や依頼を受けることもあり、今後も研究に対し継続的な協力を約束され、研究の遂行に何ら問題はない。 以上より、現在までの研究の進捗状況については、おおむね順調に進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度実施予定であった「高齢者の生活の変化」を実施する予定である。これは、プレ調査の調査対象であった30世帯のうち、単身または夫婦のみ高齢者を抽出し、追跡調査を実施するものである。プレ調査後、調査対象であった高齢者の方が亡くなったケースが数件あり、調査の実施を先延ばしにすることがやむを得なかった事情がある。今後も調査対象者の状態が変わる可能性はあるが、NPO法人関係者が対象者の状態などを把握しているため、情報を得ながら調査を進めて行く。 また、「地域の居間」の活動は、今年度は散発的なものであったが、スタッフも見つかり次年度は週1回の定期的な運営を目指している。活動に出来る限り参加させてもらい、実施状況を把握するとともに、発展的な運営について助言等を行っていく予定である。 研究のまとめに際し、不十分な点はヒアリング調査等の追加調査を実施する。 調査対象地域のNPO法人とは良好な関係を築いており、必要に応じて打ち合わせの機会を持ち、意見交換などを行っている。また、イベントの際には出来る限り訪問し、住民たちの活動の様子を観察し、地域の様子について把握するよう努めてきている。今後も同様に地域との関係を築いていくつもりである。 研究分担者および連携研究者との連絡・打ち合わせも支障なく行えており、研究推進に問題はない。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、学会が北海道で行われるため旅費が予定よりも嵩むが、研究の遂行に大きな影響を与えるものではない。 調査はヒアリング調査や参与観察調査の予定なので、支出は交通費が主な使途となる。購入が必要な物品も、デジタルカメラが故障したため新たに購入が必要となったが、その他、プリンタのトナーなど研究遂行に必要な消耗品や書籍が中心であり、ほぼ当初の計画通りである。
|
Research Products
(5 results)